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May 25, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/24

新しいカンヌの歴史を作ったタランティーノ。映画祭は静かに幕を閉じていく

  12日間、長い長いと思っていた映画祭も過ぎてみれば、あっという間。最終日の日曜日は人がどんどん減っていく。「また来年!」という言葉を残してカンヌから去っていく。今年のカンヌ映画祭は日本映画がグランプリを取ってから満50周年、審査員長は日本びいきのクエンテクン・タランティーノだけあって日本映画授賞を前評判が高かった。またマイケル・ムーアの『華氏911』は11月の大統領選に影響しかねない内容とミラマックスが、アメリカ配給を拒否しているなど話題を呼び、またカンヌで上映されるや、蓋を開けてみれば星取表のトップをまい進、タランティーノら審査員がどのような評価を下すのだろう、政治色が濃いだけにあえて避けるだろうか、とも思われたがパルム・ドールを獲得した。

 またグランプリの韓国映画『オールドボーイ』はタランティーノ好みという声が多かった。その声に応えるかのような授賞だった。

 オリヴィエ・アサイヤスの『クリーン』は、見終わったときにマギー・チャンの存在感が鮮やかだった。彼女はシンガーの夢を捨てきれないでいるエミリーという女性を「彼女は成功できるだけの歌唱力がないから歌手として成功しないでしょう。それに彼女はエゴイスト。でも自分の幸せのために一生懸命生きる女性だから彼女なりの幸せをつかめると思う」と授賞式の日のお昼に話してくれた。それは各国の記者が一つのテーブルを囲むグループインタビュー。こういう場所で毎年、同じ顔に出会えたりするのもこの仕事をしている楽しさだ。中に彼女のプライベートに詳しくない記者がいたので「アサイヤスは私の別れた夫よ」とさらりと話すマギー・チャン。実は私がこの映画について書く仕事を始めた頃、彼女が『ポリス・ストーリー』で国際的キャリアをスタートしただけに、輝いている彼女の姿を間近に見れて嬉しい。

 14歳で日本人初、カンヌ史上最年少で映画初出演で最優秀男優賞という大きなごほうびをもらった柳楽優弥くん。カンヌ映画祭からの通知が届く前にあった『誰も知らない』の完成披露試写会で見かけた彼は、自分が初めて出演した映画がどういうふうに受け入れられるかとても不安そうだった。授賞会見後、涙ぐんでいる是枝裕和の姿を見てしまった。映画監督の数は多いけれど、14歳の少年をカンヌ映画祭の最優秀男優賞に導ける監督は今この世界にあなただけだ。3時から行われた審査員の会見でも「優弥が若すぎると言う声もあったが、この美しい映画で光を放った彼以外に考えられなかった」という声があがった。主演女優賞ではチャン・ツィィーの名前もあがっていたようだ。

 初めてのドキュメンタリー映画のパルム・ドール。そして14歳の少年の授賞など新たな歴史を作って今年のカンヌが終わる。

text by 小張アキコ

2004 05 25 | 固定リンク

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