PauseBLOG 記者会見・コラム

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May 27, 2004

『ヴェラクルス』と『墓石と決闘』の〈関係〉

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★往年の名優ゲーリー・クーパーとバート・ランカスター競演の痛快西部劇『ヴェラクルス』(1954、ロバート・アルドリッチ)が初DVD化された。

★1866年、メキシコ革命最中の物語。メキシコ各地に大ロケーションを敢行した。特に、クライマックスの革命軍対皇帝軍の戦いは、本物の歴史的な建造物〈チャプルテペク宮殿〉を使ってのロケだけに臨場感たっぷり。当時のメキシコ文化庁の特別許可の下、初めての映画撮影だったとか。

★メキシコ独特の石造の建築物。重量感たっぷり。この映画から13年後、同じ宮殿でもう1本の西部劇が撮影された。秀作『墓石と決闘』(1967、ジョン・スタージェス)。終盤の、ワイアット・アープとクラントンの決闘。両作共、ドシッとした迫力が画面から伝わってくる。ロケ効果である。

text by 田沼 雄一/Yuichi Tanuma(映画評論家)

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May 25, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/24

新しいカンヌの歴史を作ったタランティーノ。映画祭は静かに幕を閉じていく

  12日間、長い長いと思っていた映画祭も過ぎてみれば、あっという間。最終日の日曜日は人がどんどん減っていく。「また来年!」という言葉を残してカンヌから去っていく。今年のカンヌ映画祭は日本映画がグランプリを取ってから満50周年、審査員長は日本びいきのクエンテクン・タランティーノだけあって日本映画授賞を前評判が高かった。またマイケル・ムーアの『華氏911』は11月の大統領選に影響しかねない内容とミラマックスが、アメリカ配給を拒否しているなど話題を呼び、またカンヌで上映されるや、蓋を開けてみれば星取表のトップをまい進、タランティーノら審査員がどのような評価を下すのだろう、政治色が濃いだけにあえて避けるだろうか、とも思われたがパルム・ドールを獲得した。

 またグランプリの韓国映画『オールドボーイ』はタランティーノ好みという声が多かった。その声に応えるかのような授賞だった。

 オリヴィエ・アサイヤスの『クリーン』は、見終わったときにマギー・チャンの存在感が鮮やかだった。彼女はシンガーの夢を捨てきれないでいるエミリーという女性を「彼女は成功できるだけの歌唱力がないから歌手として成功しないでしょう。それに彼女はエゴイスト。でも自分の幸せのために一生懸命生きる女性だから彼女なりの幸せをつかめると思う」と授賞式の日のお昼に話してくれた。それは各国の記者が一つのテーブルを囲むグループインタビュー。こういう場所で毎年、同じ顔に出会えたりするのもこの仕事をしている楽しさだ。中に彼女のプライベートに詳しくない記者がいたので「アサイヤスは私の別れた夫よ」とさらりと話すマギー・チャン。実は私がこの映画について書く仕事を始めた頃、彼女が『ポリス・ストーリー』で国際的キャリアをスタートしただけに、輝いている彼女の姿を間近に見れて嬉しい。

 14歳で日本人初、カンヌ史上最年少で映画初出演で最優秀男優賞という大きなごほうびをもらった柳楽優弥くん。カンヌ映画祭からの通知が届く前にあった『誰も知らない』の完成披露試写会で見かけた彼は、自分が初めて出演した映画がどういうふうに受け入れられるかとても不安そうだった。授賞会見後、涙ぐんでいる是枝裕和の姿を見てしまった。映画監督の数は多いけれど、14歳の少年をカンヌ映画祭の最優秀男優賞に導ける監督は今この世界にあなただけだ。3時から行われた審査員の会見でも「優弥が若すぎると言う声もあったが、この美しい映画で光を放った彼以外に考えられなかった」という声があがった。主演女優賞ではチャン・ツィィーの名前もあがっていたようだ。

 初めてのドキュメンタリー映画のパルム・ドール。そして14歳の少年の授賞など新たな歴史を作って今年のカンヌが終わる。

text by 小張アキコ

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May 24, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/23

ドキュメンタリー映画がカンヌ映画祭を征すパルム・ドールはマイケル・ムーアの『華氏911』

 第57回カンヌ映画祭の授賞式が22日現地夜19時半から行われた。その結果はマイケル・ムーアの『華氏911』がパルム・ドール、そして韓国映画『オールドボーイ』がグランプリという結果になった。そして日本からは『誰も知らない』の4人兄弟の長男を演じた中学3年生の柳楽優弥くんが最優秀男優賞を授賞した。残念ながら柳楽優弥くんはすでに日本に帰国し、是枝裕和監督が彼の代わりに壇上にあがった。4ヶ月かけてオーディションで選んだ少年が、日本人として初めて男優賞を授賞するとは、本人が一番驚いているのではないだろうか?

 審査員賞はタイ映画『トロピカル・マラディ』のアピチャッポン・ウィーラセタクンとコーエン兄弟の『レディ・キラーズ』で名演技をした女優のイルマ・P・ホールが授賞したが、この華やかな場所に彼女の姿はなかった。というのも昨年末に交通事故に遭い、未だ病院にいるためカンヌに来れないのだ。

 今年はアジア映画に注目が集まっていたが、授賞結果もアジア映画が目立っていた。最優秀男優賞は日本の中学生だが、最優秀女優賞はマギー・チャン。彼女はオリヴィエ・アサイヤスの『クリーン』に主演するだけでなくウオン・カーウァイの『2046』にも出演している。この日の昼間、彼女を取材したときには、まだ知らされていなかったのだろうか?「今夜どんな服でレッドカーペットを上がるの?」と聞いたときには答えはなかったのだが・・・。さらにパルム・ドールに次ぐグランプリは韓国映画『オールドボーイ』が授賞した。これは韓国では初めてのことではないかしら。会場内でもグランプリに湧いた。そしてパルム・ドール。『華氏911』は映画の出来としてこの映画祭で最高と言う評判だったが、テーマがテーマだけにはたして賞をもらえるか、という話だったが前日、国際批評家連盟賞を受賞。何しろイラク軍の捕虜の映像などが出てきて11月の大統領選挙にも影響しかねず、アメリカでは配給が拒否されているというもの、このパルム・ドールでアメリカの公開がどうなるか楽しみである。

23日15時から審査員の会見が行われる。クェンティン・タランティーノの授賞理由が明らかにされる。明日はそれをお届けします。

text by 小張アキコ

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May 23, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/22

『2046』の記者会見は超満員。キムタクのカンヌデビューは温かく迎えられた

 今夜の賞の発表を前にいろいろな賞が発表されは始めた。昨夜発表があった国際批評家連盟賞のコンペ部門は順当にマイケル・ムーアの『華氏9.11』が授賞したが、「ある視点」部門で授賞したのが、先日お伝えしたウルグアイの29歳のホアン・パブロ・リベラとパブロ・ストールが共同監督した『ウイスキー』で、さらにこの映画は「ある視点部門」でオリジナル賞も受賞した。

しかしそれにしても『2046』フィーバーは凄い。アジア映画でここまで記者会見場が混み合ったことはないと思う。それだけに予定されていたコン・リーの欠席が知らされると会場からため息がでた。今年のカンヌで気にかかったことの一つにいつも見る会見の司会者の顔が変わっていたこと。けれど『2046』にはフランス映画界の大御所的評論家ミッシャル・シマが登場。1時間の会見を仕切ってくれたので、会見は順調に進行した。この映像はすでに日本で流れていると思う。

キムタクは初めてのカンヌであれだけ堂々としているというのは普通のスターと違う。日本人から英語で「英語で質問していいか」という問いに「SURE(シュア)!」と答えるその余裕。公式のスクリーニングで初めて映像を目にして驚いたこともあったと言う。撮影はバンコク、香港、上海の3ヵ所。シナリオもないというウォン・カーウァイ独特の撮影スタイルに戸惑ったこともあるようだが、トニー・レオンだって撮影現場で初めて自分の役を教えられたのだから・・・。
撮り残し部分をするために久しぶりに自宅のクロゼットから「2046」のTシャツを出したときに懐かしさがこみ上げてきたと言う。「蝶ネクタイはもう少し年を取ってから」と公式上映のスタイルをブラックタイにしたというキムタク。そうすると近い将来、カンヌでキムタクの蝶ネクタイ姿が見られるかもしれない。ちなみにトニー・レオンは白で決めていたけれど、このホワイト・タキシードは4年前に最優秀男優賞を取ったときと同じ物。どうやら白はトニーのラッキーカラーらしい。

 今夜パルムドールが発表される。私としては是枝裕和の『誰も知らない』が何かの賞に入ってく
れることを期待している。女優賞はマギー・チャンが『CLEAN』と『2046』で取れると嬉しい。

text by 小張アキコ

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May 22, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/21

ついに『2046』ベールを脱ぐ木村拓哉もタキシード姿でレッド・カーペットに登場


 ついについに散々待たせたあげくウォン・カーウァイの『2046』が上映の運びになった。何しろ20日の朝と昼過ぎの2回の上映をキャンセルして19時の公式上映で初めてその全貌が明らかになった。しかし木村拓哉やコン・リー、トニー・レオン、チャン・ツィイーらが赤絨毯の前に現れたのは、19時半近く。30分も遅刻と言うのもカンヌの歴史で例をみないのではないだろうか。コン・リーとチャン・ツィイーの2人の美女と並んで、茶髪でタキシード姿で登場したキムタクは、もの珍しそうな表情で目に映る光景を見つめていた。チャン・ツィイーは赤絨毯の上でのインタビューに英語で答えていた。映画は木村拓哉演じるタクの独白から始まる。本当に女優陣のチャイニーズドレス姿の美しいこと。和服同様、首がポイントで魅力的でした。詳細は今日午後から会見があるので明日また詳しくお伝えします。

 ところで『2046』の上映延期騒動で急遽繰り上がり19日朝に上映されたオリヴィア・アサイヤスの『CLEAN』、これが正直言ってよかった。息子と離れてパリで暮らすマギー・チャンがいい。脇で小さな役だがロングヘアのベアトリス・ダルの存在感が今までの彼女とはうって変わった姿がまた新鮮だった。個人的にはマギー・チャンに女
優賞を挙げたいのだが・・・。

 この日は日本映画2番目の『イノセンス』の公式上映もあり、押井守監督が会見に臨んだ。今回もコンペには『シュレック2』と2本のアニメが選ばれているが、ハリウッドアニメと日本のアニメの違いについて聞かれて「ハリウッドは3次元を目指し、日本とは違う」と語り、大の犬好きも披露していた。

 ところでこの日の午後、私が会ったのは『アラビアのロレンス』、『ドクトル・ジバコ』の名優オマー・シャリフだった。昨年ベネチア映画祭で上映された『イブラハムおじさんとコーランの花たち』に主演していい味を出していた。映画の舞台は30年くらい前のパリだが、実はオマー・シャリフもパリ住まい。それも聞けばシャンゼリゼに近いホテル暮らし。今年はこれから2本の映画に出演すると言うバリバリの現役! 長い人生を振り返って家族に愛されて育ったこと、いい友人が周囲にいることを挙げてくれた。最後に「今度パリのホテルに連絡をおくれ。夕ご飯を一緒に食べよう」と声を掛けてくれた。私にそんなことを言ったら、本当に美味しいワインをご馳走になってしまうから・・・。

text by 小張アキコ(映画評論家)

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May 21, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/20

ドタキャン変更が続き、映画祭はてんやわんや授賞式まで何があるかさっぱり予測がつきません

 木村拓哉は無事にカンヌに着いたけれど『2046』の試写はフィルムが届かない、という異例の事態で延期。本来なら20日朝8時半からの試写は別の映画に変更になった。こんなこと前代未聞のこと。けれど今年ほど予定が変更、ドタキャンされるのは珍しい。だから約束を果たしてくれたケン・ローチがどれだけ紳士に見えたことか。『2046』狂騒曲はまだ始まったばかり、今日、明日と一体何が起こるかわからない。

 昨日は招待作品チャン・イーモウ『LOVERS』の上映で主演の金城武のハンサムぶりが人気を集めていた。『HERO』の続編として同じスタッフで作られたという『LOVERS』は、チャン・ツィイーが盲目の踊り子を演じている。たった30分の記者会見で私は金城武に日本語で答えてもらおうと思ったのに、彼から帰ってきたのは映画同様、北京語でした。

 この日「ある視点」部門で公式上映されたウルグアイの若手2人が共同監督した『ウイスキー』を見た。というのも私はウイスキーが出てくる映画のエッセイを書いている。それでウイスキーが随所に出てくる映画かと期待して見に行ったら、マティーニとか飲んでいてラスト近くにならないとウイスキーをオン・ザ・ロックスで飲むシーンが登場しない。ではなぜ『ウイスキー』かというと写真を撮るときに「チーズ!」と言う代わりに「ウイスキー!」と言うというの
がこの題名の由来。さっそくブラジルの評論家に聞くと確かに写真を撮るときに「ウイスキー!」と声を出す習慣があるとのこと。主人公は自分の小さな靴下工場がわが世界だと生きるジャコブ。そこに海外からジャコブを訪ねて兄弟がやってくる。やがて妻のマルタと3人で旅行に出る。地味だが3人のベテラン俳優達の演技に手ごたえがあり、特に妻マルタを演じた女優の靴下工場で働くシーンやクラブのシーンなど存在感が感じられた。まだ何が賞を取るだろうか占うことは出来ないが、今回、映画を見ると「こんなにも上手な俳優さんがいるのだ」と感心することが何度もあった。

 朝一番に上映されたブラジル映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』より、正直言って私は『ウイスキー』が気に入りました。こういう大規模ではなくても丁寧に作られた映画が、コンペ部門に出てくるといいのに・・・と思ったのでした。
 
text by 小張アキコ(映画評論家)

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May 20, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/19

『レディ・キラーズ』のナイト・パーティーの頃、ニース空港はキムタクご一行様出現に大騒ぎ!

 朝の試写はトム・ハンクス主演の『レディ・キラーズ』だが日本で今週末公開のこの映画はすでに東京で見ているのでパス。この時間私が会っていたのはロンドンから1泊だけカンヌを訪れたケン・ローチ。フランスでのDVD発売を記念したカンヌのイベントのためだけの滞在だが、その中で45分を私にくれた。というのも話しは昨年の秋に遡る。イタリアで開催された国際批評家連盟の総会に日本から私が出席した帰りに、なんとイタリア全土に起きた大停電に遭遇してした。そのときに偶然パリまでの便に乗り合わせたのが、ケン・ローチやヴィム・ヴェンダースの映画の製作者として知られるドイツ人。彼がケン・ローチを紹介してくれてカンヌで会うことが実現したわけ。

 初めてテーブルで向き合って話した感想を言えば、やっぱりイギリス紳士である。優しく私やシネカノンの女性に紅茶を勧めてくれる。

 10代の傷つきやすい少年達を描き続けているが、彼自身が思い起こす10代での重大だったことは、15,6歳の頃、素晴らしい歴史の先生に出会ったこと、シェイクスピアなどの演劇に親しむことができたこと、そして19歳から2年間徴兵に行ったことだったという。ちなみに彼が最近見た映画は『ロスト・イン・トランスレーション』なのだが、「あの日本の描き方は関心できない」と顔をしかめていた。

 『レディ・キラーズ』の会見は、ジョエル・コーエンとトム・ハンクス2人だけの寂しいもの。今回の公式記者会見だけど、本当に変な質問が多い。トム・ハンクスに『プライベート・ライアン』を引き合いに出して戦争のコメントを求めるのはまだしも、映画に関係ないことが続き「僕はマスコミにいつも正直に答えているよ。この映画の話を聞いてくれよ」と言うのに変な質問ばかり。もちろん彼のカンヌを初めて訪れた感想は、「ビキニの美女がたくさんいて嬉しい」というオヤジ発言なんだけどね。これは司会者が国際舞台に慣れていないから、という気もする。公式上映の後、バスでパーティー会場に移動、会場はカジノになっていて、ルーレットを楽しみましたが、主賓の姿が見えず盛り上がりが今ひとつ。ちょうどこの時間、日本のマスコミはニース空港に着くキムタクご一行様の取材に盛り上がっていたようでした。

text by 小張アキコ(映画評論家)

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フォード西部劇は〈女性映画〉だった!

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★このところウエスタンのDVDリリースが増えている。新たに、「西部劇の神様」と慕われるジョン・フォード監督の『駅馬車』(1939)と並ぶ不朽の名作『荒野の決闘』(1946)もDVDで観られることになった。

★この2作、表の看板は〈男性派映画〉となっているが、実は〈女性向け〉を狙って創られた。

★ジョン・ウェインをスターにした『駅馬車』は、もともとは、淪落の女ダラス役に扮しているクレア・トレヴァーのために企画された。
          
★同様に、『荒野の決闘』は酒場の女チワワ役のリンダ・ダーネルを大いに売り出すための映画だった。

★『荒野の決闘』の原題「愛しのクレメンタイン」は、女性層を狙ったタイトルである。

text by 田沼 雄一/Yuichi Tanuma(映画評論家)

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May 19, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/18

日本人向けの取材にノリノリのビリー・ボブ・ソートン。カンヌではときには嬉しいサプライズもある

 今朝は8時半にパレでコンペ部門のドイツ映画『ザ・エデュカター』の試写を見る。字幕は追えてるはずなのに、なぜ笑いが起きているかさっぱりわからない。この映画、男2人女一人の若者3人組と中年男の4人しか出てこないような映画だけど若者の一人が『グッバイ、レーニン!』のダニエル・ブリュールで彼の父親役の中年男がバーガート・クラスナー。ドイツ映画を見て、どこかで前に見た顔を映っているというのも『グッバイ、レーニン!』効果かなあ・・・と思ったりして。ちなみに『グッバイ、レーニン!』は大ヒットで1億円を超えたらしい。でもまだ『ザ・エデュカター』の日本の配給はついていないらしく、プレス試写の会場で多くの日本の配給業者の人の顔を見かけた。こちらは木曜日にフランス語のグループインタビューに入ることにしたので、またご報告します。

 カンヌでは何は起こるかわからない。この日も『モディリアーニ』の記者会見に約束の時間の30分前に行ったら、開始時間まで待たされたあげく「会見は中止」の一言でお終い。先に言ってくれれば、他のことができたのに・・・と思うこともいつものこと。こういうときは怒っていないで、すぐさま次の行動開始。もちろんその反対もある。30分の予定で『バッドサンタ』に主演したビリー・ボブ・ソートンの日本人向けインタビューが行われたが、ノってきたビリー・ボブは「私が日本の記者さんにドリンクをご馳走したい」と言い出し、結局インタビューは1時間半にもなった。「アンジェリーナ・ジョリーは本当にいい友人だよ。マスコミはいろいろ言うけどね」と前の妻、アンジェリーナと一緒に彫った刺青まで見せて入れるナイスガイ。18歳のときに初めてイレズミを彫って今では全身14箇所にイレズミがあるのだそうです。11歳までサンタクロースの存在を信じていたんだそう。「フランス人は気取っているから好きじゃない、日本人が大好き」と9.11がNYで起きたときに日本にいた思い出話しを始めるボブ。

 さらに取材場所となったホテルにあるエステ・サロンで化粧品のミニキットをもらいさらに30分の無料トリートメントまでさせてもらって、時には得することもあるのです。

text by 小張アキコ

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May 18, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/17

『KILL BILL vol.2 ザ・ラブ・ストーリー』のチケットは売り切れ。カンヌが生んだタランティーノの人気は凄い!

 毎朝8時半からマスコミ向けの試写があるが連日続くと疲れがたまってきて、目は開かないし足が向かなくなるもの。私も少々疲れ気味という時に、「朝9時から『モディリアーニ』のビデオ試写があります」という連絡が配給会社アルバトロスから入った。ここにきて30分の違いは大きいので、迷わずこちらを選ぶことにした。

 聞けばイタリア出身の画家30代で結核を患い亡くなったモディリアーニをアンディ・ガルシアが演じるという。実は私『ブラック・レイン』の頃からのファンで『ロルカ 暗殺の丘』の詩人も気に入ってるし、つい2週間ほど前も『オーシャンズ11』の原稿を書いたばかり。モディリアーニといえばジェラール・フィリップが演じた『モンパルナスの灯』(ジャック・ベッケル作品)が有名で、妻ジャンヌ役を演じたアヌーク・エーメの好演も印象に残っている。この妻役はフランス人女優エルザ・ジルベルスタインが演じている。確かに彼女は細くて長い首を持っているから適役かも・・・と思いながらホテルの一室でのビデオ試写に望んだ。

 映画は『モンパルナスの灯』とは異なった視点でエコール・ド・パリの画家達の姿を描いている。ピカソがいて、ジャン・コクトーがいて、スーティンやディアゴ・リベラらの姿も見えるモンパルナスのラ・ロトンド。深夜のパーティーにも顔を出すとモディリアーニ役のアンディ・ガルシアが葉巻を吸っていた。彼はキューバ出身だった。明日の会見でなぜ彼が伝説の画家を演じようとしたか聞いてみたい。

 コンペ部門のほかに「ある視点部門」というセクションがあり、なぜか去年も今年も日本映画は上映されていないが、さまざまな映画が上映されている。昨日はショー・ペン主演『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男(仮)』は人気だった。監督が新人なのでこちらはカメラ・ドール候補になっているが、製作は『天国の口、終わりの楽園』を監督し『ハリー・ポッター アズカバンの囚人』に抜擢されたアロフォンソ・キュアロン。ショー・ペンの営業マンという役柄は興味深かったけれど、妻役を『マルホランド・ドライブ』のナオミ・ワッツが演じているという。4年前カンヌで注目され今や『21グラム』でアカデミー賞候補女優に。彼女もカンヌが生んだスターといえる。私も久しぶりに
彼女に会いたい。

text by 小張アキコ(映画評論家)

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May 17, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/16

ビーチサイドに映える『シュレック2』のボイス・アクトレス藤原紀香、目指せコン・リー!

 土曜日で天気は晴れとあって、カンヌの街は今までで一番人が多い。この日は『シュレック2』の公式上映の日。何しろカンヌ映画祭57年の歴史でアニメで続編までもが2本ともコンペ部門の選ばれたということは初めて、ということでドリームワークスの力の入れようも違う。そのせいか日本人向けのマイク・マイヤーズの会見も30分遅れ。マイクは声の出演は一人一人のスタジオ入りだったけれど、それでもアドリブがいくつも入っていると撮影秘話を披露してくれた。

日本版のフィオナ姫役の藤原紀香もすでにカンヌ入りしている。私としては、みんなと一団で彼女があでやかな振袖を着てレッドカーペットを上がる姿が見たかったが、この日はキャメロン・ディアスはもちろん、長靴をはいたネコ役のアントニオ・バンデラス夫人のメラニー・グリフィス、そしてアンジェリナ・ジョリーなどハリウッドの綺麗どころが何人も登壇するから、そこで世界的にはまだ知名度が低い日本の紀香が一緒に登場して、カメラマンのシャッターの的になったら、やっぱりまずいかも・・・。会見の後はホテルのプールサイドでのランチ。このときも藤原紀香の美しさが光っていた。目指せ第2のコン・リーだ。

 この日は夕方、ロシア映画の記者会見に顔を出した。映画を国の重要な産業だと位置付けるロシアは今年も文化副大臣がカンヌ入りしている。(そういえば去年のヴェネチア映画祭のグランプリは若手ロシア人監督の作品でしたね)国をあげて映画や映画監督を世界に知らしめたいという熱気が感じられる。

 さてこの晩の公式上映は、『シュレック2』と韓国映画『オールド・ボーイ』(パク・チャヌク作品)。夜9時半の公式上映にはタキシード姿で出演者たちと登場。歯を無理やり折る、腕を切る、舌を抜く・・・などの過激な映像に席を立つ人もいたが、終映後は拍手が続く。この拍手が映画人たちにとってのこの上もない賛美となる。

 私個人は監督の資質としては三池崇史の方が上と見たが、2人の俳優たちの熱演は評価されていい、アジアの名優はトニー・レオンだけでないことを証明した。サングラス姿で表情がはっきりわからないユ・ジテだが、それでも喜んでいる気持ちがこちらに伝わってくる。『アタック・ザ・ガス・ステーション』で若いのに屈折した役がうまいと思っていたが、今回はそれ以上、近いうちにハリウッド俳優になるかもしれない。


text by 小張アキコ(映画評論家)

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May 16, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/15

カンヌ映画祭の華やかなひと時は毎晩開催されるパーティー。やはり主役はスター女優。

 カンヌ映画祭も最初の週末。この週末にカンヌの街と外の各地でパーティーが開催されます。ちなみに今夜もカンヌから少し離れたラナプールという所で『シュレック2』のパーティーがあるけれど残念ながら私は招待されていないのでレポート出来ません。ごめんなさい。

0514 昨夜パルム・ビーチで開催されたパーティーはここ何年かのカンヌ映画祭で毎年話題を呼んでいるショパールのパーティーでした。ショパールはカンヌ映画祭のトロフィーを提供しているスイスの宝飾ブランド。毎年カンヌの時にヨーロッパで有望な若手映画人を表彰している。3年前第1回目が『アメリ』のオドレィ・トトゥだった。『カルメン』のパス・ベガも過去の受賞者だ。

 この日の会場のパルム・ビーチはクロワゼセット岬にあり、隣はカジノ。パーティーは8時過ぎから人が集まり始め、セレモニーは9時半を過ぎってやっと始まった。何しろまず会場に入るときに招待状をチェックされる。会場の前には中に入れなかったカメラマン(パパラッチ?)がたくさん待ち構えているし、中に入ってもカメラマンが大勢いるし、モデルさんかなあ?という容姿の女性ばかり。シャンペーンを飲みながら、それぞれ歓談して時間を過ごす。私は昨年、国際批評家連盟の審査を一緒にしたロシア人映画評論家と1年ぶりの再会を喜び合いながらも短編映画部門の審査委員長ニキータ・ミハルコフが翌日にカンヌ入りする情報をキャッチ。

 ここには振袖姿の若い日本人の姿もあり、日本のキー局のテレビクルーも入ってきて着飾った人たちを撮影していましたが、この会場でやはり一番、人目を引いていたのは、審査員の一人であるエマニュエル・ベアールや映画祭の開会式の進行をした『息子の部屋』のラウラ・モランテらスター女優でした。

 この日の昼間はフランスの映画雑誌「カイエ・デ・シネマ」のランチ・パーティーに顔を出しました。ケン・ローチ本やペドロ・アルモドバル本など出版物のPRの場にもなっていました。ところで一昨日の監督週間&『茶の味』のパーティーもそうなのですが、お寿司風のもの(なぜか醤油はついていない)や焼き鳥、てんぷら風の揚げ物などが料理で出てきました。他にも春巻きやシュウマイ風のものもあり、カンヌ映画祭同様、アジア旋風が吹き荒れているのかも?

text by 小張アキコ(映画評論家)

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May 15, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/14

『誰も知らない』の評判も上々。日本のKIDSがカンヌの話題を誘う

 コンペ部門で最初に登場した是枝裕和の『誰も知らない』の評判がことのほか良い。マスコミ試写の段階から拍手を浴びていたが、今朝のニュースでも紹介され、海辺で遊ぶ5人の子供たちの姿が映像で流された。中学生役の韓英惠ちゃんが表紙を飾った雑誌もある。13日の公式上映では世界的なデザイナー、アニエス・bの姿もあった。是枝作品を初めて見たという彼女は、上映終了後「大感動した」と言う賛辞の言葉を是枝裕和に贈った。

 監督週間のトップを飾った石井克人の『茶の味』も大喝采、大きな笑いに包まれた。こちらも小学校2年生になったばかりの坂野真弥ちゃんが白いドレスで現れ、まるでお人形さんのような愛らしさに人気を集めていた。ちなみに私の浴衣姿を見て「浴衣! 懐かしい」というお茶目ぶりで、パーティー会場では踊っていたのだから元気そのもの。今年でカンヌ5回目の浅野忠信は、そのロングヘアー、タキシード姿で立っているだけでカンヌの絵になっている。私の浴衣姿に浅野忠信が「やっぱり和服はいいですよね」と言ってくれたので、着付けにチャレンジしてよかったと思った私でした。

 13日豪華だったのは『トロイ』だ。ギリシャの戦士アキレスを演じたブラッド・ピットは、愛妻のジェニファー・アニストンと2人でレッドカーペットに登場。この日最もゴージャスで幸せそうなカップルだった。王子パリス役のオーランド・ブルームは『ロード・オブ・ザ・リング』のイメージとは全く違って印象。ひげ面でワイルドで感じで、髪の短いブラピとは好対照だった。女優陣も多く豪華なカンヌらしい公式上映となった。

 今になって突然、コンペ作品に格上げ(?)された3時間近くの『MONDVINO』はドキュメンタリー。まだこの情報が行き渡っていないのだろうか、マスコミ試写の会場は満員には程遠い入り。内容は「ワインの達人」とでもいうのだろうか、フランス、イタリア、カリフォルニアなどの大きなワイナリーから北ブラジルで小規模にぶどう園を営んでいる家族までが登場する。

南フランスにしては異常な寒さからも今日あたりは解放されそう、週末の賑わいが楽しみだ。

text by 小張アキコ(映画評論家)

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May 14, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/13

タランティーノがエスコートしていたのはソフィア・コッポラ、日本趣味の2人は仲がいいのかしら・・・?

 昨夜のカンヌ映画祭開会式の映像をスカパーやニュース映像など、どこかでご覧になりましたか? 昨日は寒くて午前中から雨が降っていたのに、開会式が始まるころにはその雨も止みました。

 私はムービープラスに開会式の情報をボーダーフォンでレポートするためにメイン会場の地下にいましたが、当日いろいろ変更があり、いつものことながらてんやわんやでした。まずコンペ作品は18本だったのに、突然1本増えました! 審査対象外だったアメリカ映画『MONDOVINO』が19番目のコンペ作品に。開会式の正確な情報がなかなか届かない、というのもインターミトン(職能協会)の人々が、開会式を阻止しようと潜入する情報が入ったから。確かにそういう人がクエンティン・タランティーノやエマニュエル・ベアールに何かを訴えている映像が今朝のニュースでも流れていました。

 オープニングセレモニーのセットを見てびっくり。カンヌを沸かせた『パルプ・フィクション』から丸10年。タランティーノにオマージュを捧げているのはわかるけれど『キル・ビル』の押井守(Production I.G)の世界! 日本刀にオーレン・イシイの姿!これで『イノセンス』の押井守に何か賞をくれなかったら怒るぞ、タランティーノ!という感じです。審査員の3人は女優、その中で目立っていたのがベアールでした。

 この日の上映はペドロ・アルモドバルの新作『バッド・エデュケーション』とあって、壇上にビクトリア・アブリルら5人のスペイン女優もあがりスペイン映画一色の雰囲気。そして「映画は愛だ」と叫ぶタランティーノ。『バッド・エデュケーション(原題)』は、アルモドバルの少年時代を彷彿させる、映画監督になる少年の物語。音楽の使い方が効果的でストーリーも好感を持てるのだが、少年も映画監督になった主人公もきれいな顔立ちで、アルモドバルと結びつかない、と言ったら怒られるかしら・・・。この夜はガエル・ガルシア・ベルナルのハンサムぶりが目立っていました。

text by 小張アキコ(映画評論家)

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May 13, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/12

まだまだレッド・カーペットは未完成だが、カンヌ映画祭開幕の時間は刻々と近づいてくる

 朝8時前に私は、今夜カンヌ映画祭のオープニングの会場になるパレ・デ・フェスティバルまで散歩に出かけた。なんと会場前にはすでに場所取りの人たちの姿があった。けれどまだレッドカーペットは出来上がっていない。さまざまな映画のポスターが目を引くが、特にその中でもユマ・サーマンの姿が強くて美しい今回の審査委員長クエンティン・タランティーノの最新作『KILL BILL Vol.2 ザ・ラブ・ストーリー』だ。16日日曜日の22時半から上映されるが、フランス公開の宣伝文句は「キル・ビル、キ・エ・ビル」というもの。この駄洒落、キ・エ・ビル“QUI EST BILL”とはWHO IS BILL?のフランス語。ビルは誰?ということなので、いかにも・・・という感じだったので私も笑ってしまった。

 昨日の話になるが私は新幹線で無事、時間通りにカンヌ駅に到着。プレス・バッジをもらい、スケジュール表をもらった。見て驚いた。5月20日は今年は、フランスの休日だけど、日本DAYのような気がした。『2046』の記者会見が11時からあり、その後、『イノセンス』の記者会見が12時半から。公式上映も『2046』が19時で『イノセンス』が22時。会場に行くと世界各地からの知った顔に会える。昨年、一緒に国際批評家連盟の審査にあたったブラジルのカルロスは、コンペ作品の『モーターサイクル・ダイアリーズ』(公式上映19日)をすでに見てきたが、「名作だよ!」と太鼓判を押す。フランスのテレビ局映画事業部に勤めるパリジェンヌも忙しそうにしていた。今年は海辺に日本パビリオンも出来て、『誰も知らない』のパーティーはそこで13日夜に開かれる。

今夜のオープニングで審査員の一人フランスの女優エマニュエル・ベアールは、相当ゴージャスな装いになるらしい、という話を耳にした。すると同じく審査員のキャサリン・ターナーはどんなスタイルで登場するのだろう。

ところで今夜から金曜の朝まで国鉄はフランスにつきもののストライキだ。そういえば日本の空港で預けた荷物がまだ届かない、という人もいた。はたして今年のカンヌもどうなることやら・・・。

text by 小張アキコ(映画評論家)

2004 05 13 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

ソフィア・コッポラのデビュー作は『ゴッドファーザー』

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★「ヒット作のない若手監督」が映画の歴史を変えた、と今なお評価の高いフランシス・フォード・コッポラ監督の名作『ゴッドファーザー』(1972)。近くリバイバル公開(デジタル・リマスター版で初公開。6月19日~東劇ほか全国〈地方は順次〉)される。

★東映実録もの『仁義なき戦い』(1973~1974〈五部作〉、深作欣二)シリーズに多大な影響を与えた映画は、『ロスト・イン・トランスレーション』(2003)のソフィア・コッポラ監督の〈映画デビュー作〉でもあったこと、ほとんど知られていない。

★彼女は『ゴッドファーザー』撮影中、産声を上げた。実叔母で、コルレオーネ家の娘役に扮していたタリア・シャイアの「息子」という役柄で、教会での洗礼式シーンに出されるハメに。

★生後僅か1週間での映画出演。映画の終盤、スリリングな展開の中、赤ん坊の彼女を見ることができます。

text by 田沼 雄一/Yuichi Tanuma(映画評論家)

2004 05 13 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

May 12, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/11

いよいよ明日は第57回カンヌ映画祭のオープニング

 フランスにいるときは毎朝6時半から見る2チャンネルの「テレマタン」。日本でいえば「めざましテレビ」だろうか。この番組でその日の天気を確認したり、ストライキ情報を知ったり、平日朝の人気情報番組だ。

 今朝のニュースではすでにカンヌ映画祭の会場周辺から映像を流している。映画祭の阻止しようとする人たちが、すでにカンヌに到着しているらしく、警戒態勢に入っている様子だ。今朝の朝刊チェックのコーナーでも、南フランスの新聞「ニース・マタン」がトップ記事としてカンヌ映画祭阻止グループのことを報じている。
 

今年のコンペティション作品が全部で18作品。その中に『イノセンス』と『シュレック2』、2本のアニメがノミネートされているのも話題の一つだ。フィオナ姫の声の藤原紀香が、この週末カンヌにやってきて、世界各国でフィオナ姫の声を担当したボイス・アクトレス達と顔を合せる。

 さて大胆に賞の予想をしたいのだが、賞を取るものを予想するより、これは賞を取らない気がする・・・と思うものが何本かある。エミール・クストリッツアの『ZIVOT JE CUDO』と韓国映画ホン・サンスの『LA FEMME EST L'AVENIR DE LA'HOMME』だ。理由はこの2本はフランスで今月の公開に合せての映画祭上映だから。過去に大島渚の『御法度』、去年の『スイミング・プール』(日本公開5月15日)は、フランスの公開に合せての上映で話題にはなったが、賞に無縁だった。

 それにしても18作品の中で目立つのがアジア映画だ。ウォン・カーウァイの『2046』はもちろんだが、日本映画と同じく韓国映画が2本ノミネートされている。これは韓国映画界、初の快挙ではないだろうか。ほかにタイ映画もある。
すでに見ている中ではコーエン兄弟の『レディ・キラーズ』(5月22日公開)のマダム役イルマ・P・ホールのトム・ハンクスも真っ青な怪演が楽しかった。ではこれからフランス新幹線TGVでパリからカンヌに向かいます。行ってきます!

text by 小張アキコ(映画評論家)

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May 11, 2004

2004年 カンヌ映画祭 5/10

 カンヌ映画祭の取材のために成田空港からパリ・シャルル・ド・ゴール空港に到着したのは、昨日の早朝朝4時半。まだカンヌ映画祭には少し間があるのか、機内に知った顔はいなかった。きっと今日から12日あたりまでがカンヌ映画祭行きのピークではないかしら。

 カンヌ映画祭でも若手監督を中心にプログラムされる監督週間。今年日本映画で初めて監督週間のオープニングを飾る石井克人監督『茶の味』に出演している浅野忠信もどうやら今日、日本を発つらしい。浅野忠信は昨年も『アカルイミライ』でカンヌ入り。通算して今年で5回目のカンヌになる。カンヌ映画祭のオープニングのレッドカーペットを登る
情報が届いている。

 またコンペティション部門の2回目となる是枝裕和監督の『誰も知らない』は正式上映が2日目の13日となので、監督や出演者たちは明日カンヌ入りするらしい。藤原紀香が『シュレック2』でキャメロン・ディアスとこの週末カンヌで再会を果たすことは決まっているが、はてして『2046』に出演しているキムタクはカンヌに来るのだろうか?

 パリの街の至るところにカンヌ映画祭のポスターが貼られている。オープニング作品であるペドロ・アルモドバルの『バッド・エデュケーション』(仮)のポスターも地下鉄の構内などでも目に飛び込んで来る。こちらの映画雑誌には、ラテン系イケメン№1の呼び声高いガエル・ガルシア・ベルナルの悩ましい全裸シーンの写真なども載っていた。

 さて今朝のフランスのニュースでは、12日水曜日に始まるカンヌ映画祭のことはもちろん報道しているが、話題は失業者がカンヌ映画祭の異議を唱えてデモをしているということ。もしかすると映画祭期間中にカンヌでもデモがあるかもしれない。

 日本映画が『地獄門』が初めてグランプリ(当時の最高賞)に輝いてから50年後のカンヌ映画祭が明後日に迫ってきた。審査委員長クエンティン・タランティーノ始めエマニュエル・ベアールやキャサリン・ターナーら審査員達は今年のパルムドールに何を映画を選ぶのだろう。

text by 小張アキコ(映画評論家)

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May 06, 2004

『コールド・マウンテン』は『グリーンマイル』になる、というお話

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★米・南北戦争下のドラマを東欧・ルーマニアでロケし、大ヒンシュクを買った『コールドマウンテン』(2003、アンソニー・ミンゲラ)。

★このタイトルを聞いて、トム・ハンクスの顔を思い浮かべる方は、かなりの映画通。なぜトム・ハンクスなのか……というと、彼が主演した『グリーンマイル』(1999、フランク・ダラボン)の舞台となったのが〈コールド・マウンテン刑務所〉でしたね! 

★ジュード・ロウが苦難の末に帰還した故郷コールド・マウンテン。あの時代からおよそ70年後、ニコール・キッドマンとレニー・ゼルウィガーが耕した農地の上に、刑務所がド~ンと建てられていくというわけだ。

★舞台を巡るこちらのお話の方が、映画よりも面白い(!)。間違いない!

text by 田沼 雄一/Yuichi Tanuma(映画評論家)

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