« 『ポーラー・エクスプレス』監督&キャスト来日記者会見 | トップページ | 『僕の彼女を紹介します』キャスト&監督来日記者会見 »
Dec 23, 2004
恥ずかしながら……“年末調整”(その1)
8月5日の『モンスター』(2003、パティ・ジェンキンス)以来、全く更新されてないこのコーナー。“内田さん、辞めちゃったのかなぁ……”と思った方もいたようです(そういえば最近、某社から試写状が来ない。ラジオでレギュラーゲストもやってるのになぁ……)が、います。ホント、すみません。ちょっとここには書けない(長くなり過ぎるし、本筋から外れるから)雑務、というか原稿書き以外の仕事に忙殺されてました。取り敢えず、編集部Kが更新作業を管理してくれたおかげで、サイトは運営できたけど、自分の原稿だけが書けないっていうのも、ちょっと寂しい。
雑務、というか原稿書き以外の仕事。一先ず山は越えたけど、まだ終わらない。とはいえ、このままだと、2004年が終わってしまいそう。そこで駆け足で、『モンスター』以降に登場する予定だった作品を振り返っておこうと思います。いつも読んで下さっていた皆さん、本当にごめんなさい。2005年は正常化できるように頑張ります……。
8月10日
丸の内ピカデリー1で、『マイ・ボディーガード』(2004、トニー・スコット/松竹=ヘラルド/丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系)完成披露試写会。今秋公開予定がお正月映画に昇格。スコット、前作『スパイ・ゲーム』(2001)は工夫はされているものの余りにもソツがなさ過ぎてがっかりしたけど、今度は面白かった。『トップガン』(1986)に代表されるような健全さで見られがちなスコットだが、実は“ダーク”な、人間の“黒い部分”を描いた作品の方が面白い。デビュー作『ハンガー』(1983)の時に思ったことはやはり間違ってなかったと思う。『リベンジ』(1990)なんて、『トップガン』と同じレンズで観られたおかけでかなり損をした。今回の作品も、A・J・クィネルの原作小説「燃える男」はもっともっとダークらしいけど、やっぱりダークさが全篇を覆い、面白い。ハリウッド作品の枠内で、ブライアン・ヘルゲランドがさすがの脚色を見せたと思う。ボディーガードになったデンゼル・ワシントンとガードされるダコタ・ファニングが心を交流させていく前半より、ファニングが誘拐されてワシントンが黒い復讐に燃え上がる後半。スコットの色彩感覚と編集も冴え渡る。『スパイ・ゲーム』で“もういいかな、T・スコット……”と思ったけど、やっぱりまだ見ていこうと決めた。そういえば、この作品の邦題、何とかならなかったのかなぁ。マット・ディロンが出てくるかと思ったさ(判る方、一緒にウケて下さい)。ちなみに、原題は“MAN ON FIRE”……。
8月17日
日比谷シャンテ シネ1で『バレエ・カンパニー』(2003、ロバート・アルトマン/エスピーオー/7月24日~公開終了)。これは面白くなかった。“群像劇だからアルトマン”だったのかもしれないけど、多分、アルトマンはバレエには興味がないだろう。いつものような毒っ気を盛る余地もなく、物語も映像も弾けていない。残念。
8月19日
BV試写室で『ヴィレッジ』(2004、M.ナイト・シャマラン/BV/9月11日~公開終了)。現代アメリカを刺した寓話。出世作『シックス・センス』(1999)で、自ら“出るゾー出るゾー”という宣伝を背負う運命を作ってしまったシャマラン。おかけで毎回、歪んだ期待を背負わされているが、そんなレンズで観るのはもう止めた方がいい。前作『サイン』(2002)は9.11の影響をもろに受けた宗教映画だったと思うし、『ヴィレンジ』はあくまでも現代の寓話だ。今回の作品を観て、実は最初から、シャマランは“寓話”を目指していたような気すらしてきた。ロジャー・ディーキンスのカメラが実に秀逸。
8月20日
ヤマハホールで『バイオハザード アポカリプス』(2004、アレクサンダー・ウィット/SPE/9月11日~公開終了)完成披露試写会。前作は意外な拾い物となった。その続篇は当然、それなりの期待を背負って製作されるわけだけど、必ずしも応えられるとは限らない。無残な結果に終わる作品も多い。で、この作品がどうだったか? いろいろと工夫を凝らしているし、取り敢えず飽きさせることはないが、やはり前作に比べると力任せの印象は拭えない。最低もう一本、続篇が製作されるだろう。“ゲームの映画化は難しい”という壁を破った数少ない作品だし、個人的にも嫌いではないので、次も頑張って欲しい。
8月23日
東宝第一試写室で、『スウィング・ガールズ』(2004、矢口 史靖/東宝/9月11日~一部劇場で続映中)。判っている結末に向かって、その過程を見せる。そしてその結末を、観る側の想像の範疇で、しかし本当に気持ちのいいテンションで見せ切ってしまう。それが『ウォーターボーイズ』(2001)で幅広く支持された“矢口流”。それは今回も遺憾なく発揮されている。何しろ、「シング・シング・シング」の鳴り響くエンディングには、身体が自然とリズムを刻み出す。“自主映画時代の悪い癖”と指摘される“浮っついたギャグや映像”がないわけではないが、それでも大分落ち着いたと思う。エンターテインメントに拘る作風は貴重だし、今後も頑張って欲しい。
8月24日
イマジカ第二試写室で『山猫 イタリア語・完全修復版』(1963、ルキーノ・ヴィスコンティ/クレスト/10月23日~一部劇場で上映中)。やっぱり傑作なのだ。こんなに美しい『山猫』が観られるなんて、本当に幸せだった。詳細は〈記者会見・コラム〉→〈映画祭〉→〈ヴィスコンティ映画祭〉を見てね。それにしても、この作品のプレスにエディトリアルでも原稿を書けたのは本当に嬉しかった。
8月27日
SPE試写室(RED)で『フォッグ・オブ・ウォー マクナマラ元国防長官の告白』(2003、エロール・モリス/SPE/9月11日~公開終了)。アカデミー賞最優秀長篇ドキュメンタリー賞に輝く傑作。“戦争を止められなかった男”ロバート・S・マクナマラ元米国防長官の証言から検証される“戦争の世紀”20世紀は、実にエキサイティングだった。DVDになったらまたじっくり観てみたいと思う。もしかしたら、マイケル・ムーア作品の興行的成功がなければ劇場公開されなかったかもしれない地味さだが、その志も完成度もM・ムーア作品より遥かに高い。
9月1日
BV試写室で『アラモ』(2004、ジョン・リー・ハンコック/BV/9月25日~公開終了)。歴史の真実を見つめ直すべく、丁寧な演出で全体を統一した作品。ジョン・ウェインの『アラモ』(1960)と同じく、“1836年、アラモ砦の攻防戦”を題材にしているが、その印象は当然のことながら全く違う。そして、1960年版にあったカタルシスはない。同じ事件を題材にしても着地点が違うのだから当然なのだが、それが興行的苦戦につながったのだろうし、評価の分かれ目にもなっているような気がする。
9月6日
映画美学校第二試写室で『透光の樹』(2004、根岸 吉太郎/シネカノン/10月30日~公開終了)。大人の恋愛映画。丁寧に撮られた、美しい、いい作品だ。ただ、前作『絆 ―きずな―』(1998)から6年も開いてしまった根岸が枯れている。かつてロマンポルノで魅せただけに、それが残念だった。何しろ、これは生と性と死の物語なのだ。齢を考えれば仕方ないのかもしれないが、齢を重ねても枯れるどころか若々しく、ギラギラする人もいるし……。
9月9日
日劇1で『コラテラル』(2004、マイケル・マン/UIP/10月30日~一部劇場で公開中)完成披露試写会。殺し屋(トム・クルーズ)と彼を乗せて街を走ることになったタクシー運転手(ジェイミー・フォックス)の一晩の攻防というアイデアも見事な、実に骨太なアクション映画。これは面白かった。マンは今回も、演出、カメラ、音響設計共にパワフル。L.A.の夜景をドーンと捉えた映像には陶酔。それにしても、最近、こういう映画らしい映画って減ったよなぁ。そういえば、“クルーズ初の悪役”も素晴らしかったと思う。とはいえ、『ザ・エージェント』(1996、キャメロン・クロウ)で共演のキューバ・グッティングJr、がアカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞してしまったのと同じパターンで、今回もジェイミー・フォックスの方が評価されてしまうんだろうなぁ。クルーズって、いい俳優なんだけど、いつも何か損してるんだよね……。
9月19日
先週、『コラテラル』(2004、マイケル・マン)を堪能した勢いで、久しぶりに『トップガン』(1986、トニー・スコット)をDVD(PHE)で観てしまった。それにしても、『トップガン』ってどうしてスクィーズにならないのかなぁ。劇場公開版とビデオ版、LD版と、微妙にスクリーンサイズが違うぐらいだから無理かねぇ……。
9月21日
WB試写室で『スクービー・ドゥー2 モンスターパニック』(2004、ラジャ・ゴズネル/WB/10月16日~公開終了)。ビミョーなユルさが漂うが、前作より面白いし、決して悪くはない。“アニメを実写映画化する”という、ここでのVFXの使い方は正しいと思うし、何やらスーパー・リアルなだけの超大作よりよっぽど好感が持てる。
10月1日
SPE試写室(RED)で『シークレット・ウインドウ』(2004、デビッド・コープ/SPE/10月23日~公開終了)。“この結末ってアリかなぁ……”とは思ったものの、ジョニー・デップと(いつも通りだけど)ジョン・タトゥーロの演技は良いし、全体的な雰囲気も悪くない。コンパクトな小品。ところで、これって監督は最初からコープだったのかなぁ……。
10月7日
ヤマハホールで『エクソシスト ビギニング』(2004、レニー・ハーリン/ギャガ=ヒューマックス/10月16日~公開終了)完成披露試写会。怪作。というか、バランスの悪い作品だ。最初に作品を完成させたポール・シュレイダーが「(平たく言えば)血が足りねぇーゾ!」という理由で解雇され、後任に連れて来られたのがハーリンっていうのがその原因だろうな。(平たく言えば)“考える人”シュレーダーが創った版に、“勢いの人”ハーリンが追加撮影をして完成させる。というようなことをすれば、やっぱり全体のバランスは崩れてしまう。プロデューサーも全くムチャするよ。かつて、『エクソシスト』(1973、ウィリアム・フリードキン)でマックス・フォン・シドーが演じたメリン神父を、時代を溯るこの作品ではステラン・スカルスゲールドが演じたが、これはなかなか良かったと思う。そういえ、最初は“DVDの特典映像”とか言われていたシュレイダー版が、来年、限定公開されるらしい。楽しみだ。
10月9日
昨日から有楽町朝日ホールで、ルキーノ・ヴィスコンティの一大レトロスペクティブ“ヴィスコンティ映画祭”(朝日新聞社/他)が始まり、2日目の今日から通い始める。“全作品、修復版を上映する”という、最初で最後かもしれないこの貴重な映画祭のレポートは、〈記者会見・コラム〉→〈映画祭〉→〈ヴィスコンティ映画祭〉を見て下さいね。ちなみに今日は『ボッカチオ'70 第三話 前金』(1962)とマルチェッロ・バリエーリとの共同作品で初公開の中篇ドキュメンタリー『栄光の日々』(1945)を観賞。
10月10日
“ヴィスコンティ映画祭”で初公開の短篇ドキュメンタリー『ある三面記事についてのメモ』(1951)、『熊座の淡き星影』(1965)、『ベリッシマ』(1951)観ました。
10月11日
今日も“ヴィスコンティ映画祭”へ。劇場初公開(DVDは発売済)となる『郵便配達は二度ベルを鳴らす 完全版』(1942)、初見の『われら女性 第五話 アンナ・マニャーニ』(1953)、『白夜』(1957)を観ました。
10月12日
今日もやっぱり“ヴィスコンティ映画祭”へ。『ベニスに死す』(197)を観ました。
10月15日
“ヴィスコンティ映画祭”で『地獄に堕ちた勇者ども』(1969)。この修復は凄かったなぁ……圧巻!!
10月16日
今日も“ヴィスコンティ映画祭”へ出掛ける。『華やかな魔女たち 第一話 疲れ切った魔女たち』(1966)と『異邦人』(1968)。この日は2本とも初見。
10月18日
“ヴィスコンティ映画祭”最終日。本当に素晴らしい映画祭だった。これだけのレトロスペクティブ、日本ではもうできないだろうと思う。ちなみに今日は『若者のすべて』(1960)を観ました。
2004 12 23 | 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/51417/2389537
この記事へのトラックバック一覧です: 恥ずかしながら……“年末調整”(その1):
