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May 13, 2005
『キングダム・オブ・ヘブン』監督&キャスト来日記者会見
4月13日/パークハイアット東京
「様々な人によって宗教が利用され、悪用されている。本当に大切なのは“常に正しい行動をすること”だね」(by リドリー・スコット)
古代ローマを舞台にしたスペクタクル大作『グラディエーター』から5年。リドリー・スコットの最新作『キングダム・オブ・ヘブン』(5月14日~日劇1ほか全国東宝洋画系)は、12世紀のフランスとエルサレムを舞台に、正義と真実、そして勇気を信じ、“キングダム・オブ・ヘブン”を追い求める1人の十字軍騎士の姿を描いたスペクタクル大作だ。主演のオーランド・ブルーム、エヴァ・グリーンと共に、完成前に一度来日したスコットも再び来日、記者会見を開いた。
ブルーム演じるバリアンと禁断の恋におちるエルサレム女王シビラを演じたグリーン。彼女が、「劇中、サラディン(ハッサン・マスード)とボードワン4世(エドワード・ノートン)という2人の人物が出てくるんだけど、世の中のあらゆる政治的なリーダーが、全てこの2人のような人物だったら、と思うわ。非常に賢くて、人命を大切にし、ギリギリのところまで争いを避け、人々が死なないようにする。彼らのような人徳と誠実さを皆が持ってくれればと思うの」と語るように、12世紀エルサレムは西洋と東洋の力が均衝していた、“今は不可能だと思われている平和”が存在した時代。物語では、狂信的信者によってその均衝が崩れ、バリアンという、後に英雄となる若者が登場して来る。
スコットは、“この作品は歴史に基づいただけであってドキュメンタリーではない”と言うものの、“宗教"や“歴史”等、デリケートな題材を扱っている。イスラム教徒からの反応はどうだったのだろうか? 「何も問題はないよ。この作品にはイスラム教徒の人が3人が出演している。そのうちの1人はイスラム教徒に大きな影響力を持つ偉大な学者でもある人物。彼も“この作品に出演することができ幸せだ”と言ってくれた」。“イスラム教徒の役はイスラム教徒の俳優が演じるべき”と思ったスコットは、サラセン軍のカリスマ的指導者サラディン役にシリアの国民的映画スターのハッサン・マスードを、狂信的なムラー役にアラブでは大スターのカレド・エル・ナバウィーをキャスティングした。特にサラディンは歴史上の人物なため、マスードは東洋と西洋の文献を徹底的にリサーチし、宗教上の問題等はスコットにアドバイスをしたそうだ。細部まで拘り、誠意を込めて創られた本作には、特にイスラム教徒から大きな反論はなかったという。
また、撮影はイスラム教の建物が多いスペインとモロッコで行われた。モロッコの最大のロケ地は、大西洋に面した有名な港町エッサウイラ。この場所は1969年と1970年にジミ・ヘンドリックスが本拠地を置き、町を買おうとしたことで、“ヒッピーの首都”として有名な町だ。劇中では、この町の通りや古い壁が中世のエルサレムの町として、海岸への道は船が難破して海岸に打ち上げられるバリアンの背景として使われた。「僕は『グラディエーター』『ブラックホーク・ダウン』、そしてこの『キングダム・オブ・ヘブン』と、この5年間モロッコで仕事をし、イスラム教徒の人々と一緒に働いてきた。モロッコのモハメッド6世からは勲章を授かったし、僕はモロッコでも“ナイト”なんだよ(※編注:イギリスでも“ナイト”の爵位を授与されている)。モロッコは文化も人々も素晴らしく、大好きな国の1つなんだ。スタッフは最大で2,000人ぐらいいて、そのうち1,000人ぐらいがイスラム教の人々。彼らや国の違うスタッフたちが素晴らしい映画を創ろうと団結して、1つの目標に向かっていた。これだけの多くの人たちが上手くできるのに、なぜ世界ではそのようにできないのか? 今回の製作は私に様々な問いかけをもたらしたね」。
一方、前回の『ブラックホーク・ダウン』の「ヘリコプターから落とされた」役から、民を平和へ導く英雄バリアンに成長したブルーム。そんな彼が考える“英雄”とはどんな存在だろうか? 「先頭に立つ人は、尊厳、真実、心の優しさ、そして民のために賢い選択ができる能力が必要だと思うんだ。バリアンは、長い旅路の最後に人の命が一番大切だと気づき、最後にエルサレムの要塞を守ることより人命を守ることを選択するんだ」。
「劇中でザ・ホスピラター(デヴィッド・シューリス)が言う、“宗教とは単なる言葉なのだ”というセリフに全てが要約されているんだ。様々な人によって宗教が利用され、悪用されている。これも彼のセリフであるんだけど、本当に大切なのは“常に正しい行動をすること”だね」とリドリーが語るように、テロや民族紛争が毎日のように報道される今、世界で必要とされているのは、人のために“正しい行動”をする英雄なのかもしれない。
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