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Feb 14, 2006

2月13日:生き抜くために

 この長い戦いを生き抜くためにはホテルでの朝食が重要だ。1本でも多くの映画を観るために、1日のスケジュールはぎっしり埋められているので、上映と次の上映の間は1時間も空いていないことが多く、その短い時間に会場を移動したりチケットを取ったり、いろいろやっているとあっという間に上映が始まってしまう。だから、劇場や街のスタンドでサンドイッチを買って口に放り込んで済ませてしまうことがほとんどだ。

berlin02013_2 サンドイッチを買えるならまだいい方で、実際にはそれすら出来ずに空腹を抱えながら上映を観ていることもしばしばある。1本くらい映画を観ずにゆっくりご飯を食べればいいのに、と我ながら思うが、見逃す方がよっぽど恐ろしい。全く強欲だ。

 映画に集中しているほど、夕方まで食べていないことに気付かないことも多い。あれ?そういえば昼飯を食べてなかったな……と気付いたが最後、さっきまでは気にならなかった空腹と戦うことになる。だから、ホテルの朝食は重要なのだ。詰め込めるだけ詰め込まなくてはいけない。それが映画祭という戦いの場での鉄則だ。食べられる時に食べておく。そして寝ることが出来る時に寝ておく。

berlin02013_3  メイン会場が集中しているポツダムプラッツには、アルカーデンというその名の通りアーケードがあって、そこには本屋も郵便局も服屋も携帯電話屋もお土産屋ももちろん、食料品店やレストラン、カフェもあって、映画館を渡り歩く人々のひとときの憩いの場でもある。どこの国の映画祭でも中華のファーストフードは便利で、このアルカーデンの中にも入っているのでちょくちょく利用している。入り口に出店を出しているサンドイッチ屋もよく使っていて、なんだか写真ではパッとしないけど意外とうまい。

berlin02013_1 またアルカーデンの中にはチケット売り場もあって、一般の観客が朝早くから夜遅くまで途切れることなくいつも並んでおり、貼り出された「SOLD OUT」の印にため息をついたりしている。ベルリンはいわゆる業界の人間だけでなく一般の観客も参加できる映画祭なので、旅行をかねて立ち寄ってみるのもいいかも知れない。

アモス・ギタイの新たな挑戦

 東京フィルメックスでは常連(第1回から第6回まで毎年上映!)となっているアモス・ギタイの最新作がフォーラム部門で上映された。「NEWS FROM HOME/NEWS FROM HOUSE」とタイトルされたこの作品は、彼の出発点でもありライフワークでもある“家”シリーズのひとつとして位置づけられる。25年前に発表された作品に端を発したこの一連の作品は、世界中で上映されるとともに彼の名を高めることになったが、最新作はこれまでの作品に登場した人々や場所を再び訪れる“記憶の物語”だ。既に変わってしまったこと、変わらず残るもの、時には過去の作品のフッテージも挿入された作品は、25年という時の流れを強く意識させる。彼が残してきた足跡の大きさ。明らかにこれまでのギタイの作品の集大成でありながら、その反面、彼のセンチメンタルな側面も新たに垣間見えたような気がする。

berlin02013_4 今回の「NEWS FROM HOME/NEWS FROM HOUSE」は単なる作品の上映にとどまらず、フォーラム部門を挙げての特集となった。KW財団によるサポートを受けて、別会場でのイベントやアルセナールでのシンポジウムが行われたほか、映画祭の後も彼のレトロスペクティブが予定されている。シンポジウムにはカイエ・デュ・シネマのジャン=ミシェル・フロドンらが参加して、熱心な観客とのやりとりも含めてとても興味深い話が飛び出した。

 この大きな特集でアモス・ギタイという人物に触れて、改めて彼の巨匠たる所以に気付かされた。イスラエルでは、彼は戦い続けなければ生き抜く事ができないのだ。

 今日は、上記のシンポジウムの他に映画を5本観ることができたけど、なかなか見応えのある作品にも出会えて、満足のいく眠りにつけそうだ。

txt by東京フィルメックス・岡崎 匡

2006 02 14 | 固定リンク

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