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Feb 11, 2006

2月10日:EFM

berlin02010_1 どの映画祭に参加した時も同じことなのだけど、前の晩に「明日は何を観よう」と上映スケジュールとにらめっこして時間割を考えたり、もしくはその日の朝に「今日はこれを観るぞ!」と意気込んでいる時が一番幸せな時間でもあり、また苦しみの時間でもある。幸せの方はもちろんこれから出会う映画への期待。その反面、ひとつの映画を選ぶということは、同じ時間帯に上映している別の作品を諦める、ということでもある。ベルリンのような大きな映画祭であればなおさら、たくさんの会場で一斉に上映されているため、必然的に見逃す映画の数も多くなる。その上映を見逃せばもう二度と観る機会がない映画かも知れず、そのことを考えると狂おしいばかり、しかしこれは贅沢すぎる病気なのかも。

 朝一番にフォーラム部門のオフィスを訪れてゲスト・キットをもらう。この中のIDパスを使って映画祭の作品を観て回ることになる。毎朝、当日と翌日の上映がバーコードで一覧になった紙を手に入れて、これを読み取って発券してもらう。午後には翌日のチケットまでSOLD OUTになってしまうので、午前中に争奪戦が繰り広げれられるのだ。

 ベルリン映画祭には、EFM(ヨーロピアン・フィルム・マーケット)が併設されている。通常、マーケットは映画の売り手(セラー)と買い手(バイヤー)が商談をするための場で、そのためにマーケット試写も行われている。ということは、いわゆる映画祭公式上映作品に加えて、マーケット用の映画もベルリン映画祭では上映されている訳で、すなわち幸せも苦しみもさらに倍増(!)するのです。

berlin02010_2  私たちのような映画祭は映画の権利を買う訳ではないけれど、それぞれの映画祭で上映したい作品を集めるためにマーケットにも足を運ばなければいけない。出展している売り手側も、映画祭での上映がその国での配給のきっかけとなることを願って、売り込みをかけてくる。いわばお見合いの場、それがマーケット。

 今年から新しく会場を移したEFMに向かう。昨年までの会場は、幕張メッセというか、コンベンションセンターのような味気ない場所だったけれど、今年会場になった建物はいかにもなヨーロッパの古い立派な建物で、夕べの雪が降り積もった中に浮かぶ姿はリッチな雰囲気が漂う。

 この建物の中ではまさに今、映画の売買をめぐる応酬がやりとりされていて、僕が目にしたことのないような金額が動いているのだ。

berlin02010_4  建物の内部は、中央の広間をぐるりと取り囲む回廊が細かく区切られて、その一つ一つがブースになっている。ここでの僕の仕事は、関係のあるブースを挨拶回りすること。東京フィルメックスでの上映作品はアジア映画が多いので、おのずと対象となるブースも限られてくる。まるでウィンドウショッピングを楽しむかのような感覚で、それぞれの国(会社)を回って行くのです。「どれどれ、イキのいい映画は入荷してますか?」と、スタッフに最新の映画について情報やEFMでの試写の予定を聞き、作品の詳細が記されたフライヤーをもらい、代わりにこちらからは今年の開催概要や過去の記録をまとめた資料と昨年のカタログを渡して、何かいい作品があればせひ応募してくれ、と選挙演説さながらに「フィルメックス、フィルメックス」と連呼して回っていく。

 ひととおり挨拶回りを終えた頃には、カバンの中にはいろいろなブースから集めた映画のフライヤーでいっぱい。日本でいう“映画館を巡ってチラシを集める”感覚に似ている。ただチラシとは違って紙が厚くて大きいので重いのなんの。映画祭の公式カタログ各種(ベルリンほど大きくなるとカタログは数冊にもなるのです!)も一緒に入ったカバンを持っていると肩が抜けそうになる。この紙の束に加えて、デジタルビデオカメラやフィルメックスの資料が入ったカバンも持ち歩いているので、やたら荷物を抱えた姿は秋葉原のA-BOYそのもの! まぁオタクという点では似たものか……。

 結局、マーケット試写を含めて今日は観ることの出来た映画は3本。これはかなり少ない。マーケット巡りに時間をかけたことや、同僚が飛行機に乗る前から胃炎でダウンしていて、その様子を見にホテルへ途中で戻ったり、久しぶりのベルリンで道に迷ったり地下鉄の駅を(うっかり)間違って降りたりして忙しかったからです。

berlin02010_3  朝7:30に起きて最後の『私刑(リンチ)』の上映が終わったのは夜中の1時40分、それから地下鉄でホテルまで戻ってシャワーを浴びたあと、この原稿を書いている今は3時30分。なかなかハードな一日だったけど、今日に限らず映画祭が終わるまではこんな日々なのです。

 このレポートと同じく焦らずボチボチやっていこうとは思うけど、明日はたくさん映画を観たいなぁ!

2006 02 11 | 固定リンク

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