« 田中登監督の作家性「優美なる死骸遊び」開催 | トップページ | ヴィスコンティ生誕100年まで、あと15日。 »
Oct 13, 2006
ヴィスコンティ生誕100年まで、あと20日。
遅くなりましたがご報告です。10月7日土曜日、新宿・テアトルタイムズスクエア、「ヴィスコンティ生誕100年祭」初日。初回、10時40分の『ルートヴィヒ 完全復元版』を観て来ました。
普段はマスコミ試写で観ることが多いのですが、これはちゃんと劇場窓口で(勿論3作品分の)前売券を購入。試写で観逃してしまった要チェック作品の他、好きな作家の作品は試写で観ても必ず最低1回は劇場に行くのが自分の中でのお約束。それにしてもこの『ルートヴィヒ 完全復元版』、“ようやくスクリーンで再見出来た"という感じでした。2004年に開催された大規模なレトロスペクティブ「ヴィスコンティ映画祭」では「チケット完売」で観ることが出来ず、原稿を書いたにもかかわらず今回の「生誕100年祭」のためのマスコミ試写は所用で観ることが出来ず。先輩映画評論家の某氏にこの話したら「『ルートヴィヒ』はヴィスコンティの“呪われた映画”だからね」とニヤニヤ……。
何はともあれ、様子を見に来ていた配給会社の皆さんにご挨拶を済ませた後、テアトルタイムズスクエアの大スクリーンで久しぶりの『ルートヴィヒ 完全復元版』を堪能しました。考えてみたら、こんな大きなスクリーンで“LUDWIG"を観たのは初めてかもしれません。『ルートヴィヒ/神々の黄昏』として公開された初公開時は岩波ホール、『ルートヴィヒ 完全復元版』として後年公開された時は銀座文化劇場(現・シネスイッチ銀座)。やっぱり今回のスクリーンは大きいですよね。“LUDWIG"はいろいろ見所のある作品だけど、後にヴィスコンティが身体を壊す原因になったと思われる、酷寒のドイツ、オーストリアでロケを慣行した映像もその1つ。そんな映像をとても大きなスクリーンで観られことが、まず、今回の感動でした。
勿論、この作品の美しさは映像だけではありません。人間の本質を抉り出す“冷徹な視線”がある一方、精神的高揚を呼ぶ“ロマンティシズム”を持つのがヴィスコンティ作品。時に描く対象を残酷にまでに冷たく突き放して見せるヴィスコンティですが、ここでは悲運の王、ルートヴィヒⅡ世の崩壊を冷徹に見つめつつ共感も寄せています。“冷徹な視線”と“ロマンティシズム”のこのバランス感覚が、作品全体を“永遠に続くかのような沈鬱”と“静寂が聞こえるような美しさ”で包み込みました。耽美的、官能的とは違う、厳しさに貫かれた美しさ。そのイメージは、初めてのヴィスコンティ体験になった『ルートヴィヒ/神々の黄昏』から何本も、何回もヴィスコンティ作品を観て来た今も変わることなく、今回もすっかり魅了されました。
充実の4時間は、正に暫く他の映画を観る気が失せるような満腹状態。これは、製作時に桁外れの精神的、金銭的苦労を架された上に完成後は短縮を余儀なくされ、最終的に自ら復元作業を行えなかった、ヴィスコンティにとっての“呪われた映画”です。それでもこれだけの作品が今も観られることに感謝するべきなんでしょうね。
ちなみに今回は、『ルートヴィヒ/神々の黄昏』と『ルートヴィヒ 完全復元版』の初公開時劇場用プログラムの表紙を載せておきます。
「ヴィスコンティ生誕100年祭」上映スケジュール
●映画「ヴィスコンティ生誕100年祭」
10月7日~11月2日 〈東京〉テアトルタイムズスクエア
www.cinemabox.com/schedule/times/index.shtml
以降、〈名古屋〉名演小劇場〈大阪〉テアトル梅田、他全国順次開催
配給:クレストインターナショナル
公式サイト crest-inter.co.jp/visconti/index.html
●書籍「ヴィスコンティを求めて」
東京学参から発売中
2006 10 13 [ヴィスコンティ映画祭] | 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/51417/12261125
この記事へのトラックバック一覧です: ヴィスコンティ生誕100年まで、あと20日。:
