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Mar 04, 2007

第79回(2006年度)アカデミー賞を分析する

今のアメリカ映画の傾向を物語る受賞結果

 今年のアカデミー賞は例年にも増して“功労賞”の色が強かった。作品、監督賞候補に『ドリームガールズ』と監督ビル・コンドンが入らなかった時点で、私自身は今年のオスカーの行方に興味を失った。あの素晴らしいミュージカル映画を主要部門から外してしまうところに、現在のアカデミー賞の低調さが伺える。

Academy







 作品賞『ディバーテッド』と監督マーティン・スコセッシの監督賞初受賞は私の周りでは不評だが、リメイクとシリーズ物が主流となった今のアメリカ映画の傾向を『ディバーテッド』の受賞ほど如実に物語っているものはない。順当な選択だった。スコセッシは当然『タクシー・ドライバー』(1976)か『レイジング・ブル』(1980)、その2作品が無理でも『グッドフェローズ』(1990)で受賞させておくべきだった。あまりにも遅すぎる。功労賞の意味合いが大きい受賞だ。
 時代遅れの70年代ニューシネマ風の『リトル・ミス・サンシャイン』で助演男優賞を受賞したアラン・アーキンにしても反戦、厭戦をテーマにした『キャッチ22』(1971)で主演賞を受賞していても良かった。「今までオスカーを上げられずにごめん」という気持ちが託された受賞だと思う。可哀相なのはエディ・マーフィだ。助演賞受賞を逃したショックのあまり授賞式途中で帰宅してしまった。80年代『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズが大当たりしていた頃、かなり威張っていて、ハリウッド関係者に反感を買っていた。そのツケが20年経って回ってきた。
 女優陣の主演、助演の受賞は当然の結果。予想通り。最も驚いたのは『不都合な真実』の長篇ドキュメンタリー映画賞だ。この映画のどこがいいのか、私には判らない。演説としては一流でも、映画としての体を成していないと思うのだ。今、日本でこの映画を否定することがご法度みたいになっているようだが、“京都議定書”にサインをしない国が創った環境告発ものに説得力があるとは思えない。ハリウッド関係者がこの映画を選択した真意をぜひとも知りたい。
text by 田沼 雄一/Yuichi TANUMA (映画評論家)

《受賞結果一覧》
作品賞 『ディパーテッド』(WB) 公開中
監督賞 マーティン・スコセッシ
『ディパーテッド』
主演男優賞 フォレスト・ウィッテカー
『ラストキング・オブ・スコットランド』(FOX) 3月10日公開
主演女優賞 ヘレン・ミレン
『クィーン』(エイベックス・エンタテインメント) 4月公開予定
助演男優賞 アラン・アーキン
『リトル・ミス・サンシャイン』(FOX) 公開中
助演女優賞 ジェニファー・ハドソン
『ドリームガールズ』(UIP) 公開中
オリジナル脚本賞 『リトル・ミス・サンシャイン』
脚色賞 『ディパーテッド』
外国語映画賞 『善き人のためのソナタ』(アルバトロス・フィルム) 公開中
撮影賞 『バンズ・ラビリンス』(キュービカル・エンタテインメント) 秋公開予定
編集賞 『ディパーテッド』
歌曲賞 “I Need To Wake Up”『不都合な真実』(UIP) 公開中
作曲賞 『バベル』(ギャガ・コミュニケーションズ) 4月28日公開
長篇ドキュメンタリー賞 『不都合な真実』
視覚効果賞 『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』(BV) 公開終了
衣裳デザイン賞 『マリー・アントワネット』(東宝東和=東北新社) 公開中
メイクアップ賞 『バンズ・ラビリンス』
美術賞 『バンズ・ラビリンス』
長篇アニメ賞 『ハッピーフィート』(WB) 3月17日公開
録音賞 『ドリームガールズ』
音響効果賞 『硫黄島からの手紙』(WB) 公開中
短篇実写賞 “West Bank Story” 公開未定
短篇ドキュメンタリー賞 “The Blood of Yingzhou District” 公開未定
短篇アニメ賞 “The Danish Poet” 公開未定

2007 03 04 [シネマニュース] | 固定リンク

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