PauseBLOG 記者会見・コラム

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Mar 23, 2007

『クロッシング・ザ・ブリッジ~サウンド・オブ・イスタンブール~』キャストインタビュー

「自分の国をもっとよく知って、その心なども大切にしていければと思います」(by D J ヤクザ)

Kuro ヨーロッパとアジアの狭間で独特の文化を発展させてきたトルコ・イスタンブール。ここにはクラブサウンドとスーフィー(イスラム神秘主義)音楽を融合させた全く新しい音楽や、自らの人生や民族内にある反社会的なメッセージを込めた音速ラップ等、様々なジャンルの音楽が誕生し、クラブカルチャーの最先端として世界から注目されている。“何故、こんなにもイスタンブールの音楽は魅力的なのか?”。その秘密に迫ったのが、『愛より強く』(2005)でベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したファティ・アキンのドキュメンタリー『クロッシング・ザ・ブリッジ~サウンド・オブ・イスタンブール~』(3月24日~シアターN渋谷ほか全国〈地方は順次〉)だ。

 この作品に出演しているバンド“オリエント・エクスプレッションズ”のメンバーの一人、D J ヤクザはこう語る。「この映画のプロジェクトを聞いた時に、正直、イスタンブールの音楽シーンを1本の映画にまとめられるかが不安だった。だけど、撮るミュージシャンが全て決まり、最終的に映画を観終わって感じたのは、“イスタンブールの音楽シーンをちゃんと理解した人が撮った映画だ”と客観的に思えるぐらいまとまっているということでした」。

 そんな彼、実は父親の仕事の関係で10代を東京の青山で過ごしている。やがてトルコに戻った後は、ラジオ番組を持ちながらDJ活動を本格化。民謡音楽家やジャズ演奏家たちとオリエント・エクスプレッションズを結成。2006年にはトルコ最大の新聞「Hurriyet」による“トルコのNo. DJ”に選ばれた実力者だ。ちなみに“ヤクザ”という名は、彼の生い立ちから来ているのだとか。「イスタンブールに戻った時、『ブラック・レイン』(1989) が流行っていて、日本から戻ったからニックネームでヤクザと呼ばれるようになったんだ」。

 かつては貿易交流によって様々な文化や歴史が生まれたトルコ。しかし現代では、特に音楽の交流はトルコでもデジタル化が一般化しつつあるという。「デジタル配信の問題は世界中が抱えていますね。でも逆に言えば、簡単に、誰でもいい曲を探すことが出来る。僕たちDJにとっても、いい曲を探して広めることは重要なことです。それでもイスタンブールには、僕らも含め、若者たちにも自分たちのルーツである曲や歌手を尊敬し、受け継ごうとしている人がたくさんいます」。

 そして彼は今後の目標をこう語った。「たくさんの音楽を聞いて、まだ誰も聞いたことのないような曲を紹介していきたいです。また自分の国をもっとよく知って、その心なども大切にしていければと思います。音楽のプロデュースにも挑戦したいですね」。

取材・写真・文=勝丸 京子/Kyoko KATSUMARU(ライター)

プロフィール
DJ ヤクザ/DJ Yakuza
生年月日不詳。トルコ、イスタンブール出身。トルコの伝統音楽とジャズ、エレクトロニック音楽を融合するイスタンブールの4人組バンド、オリエント・エクスプレッションズのリーダー。本名:ジャン・ウトカン。10代を東京の青山で過ごし、トルコに戻った後はFM局「RADIO OXY-GEN」で番組を持ちながらDJ活動を本格化させ、民謡音楽家やジャズ演奏家たちとオリエント・エクスプレッションズを結成。昨年末にはトルコ最大の新聞「Hurriyet」でに“トルコのNo.1 DJ”に選ばれた。

Kuro_01 『クロッシング・ザ・ブリッジ
~サウンド・オブ・イスタンブール~』
“CROSSING THE BRIDGE:
THE SOUND OF ISTANBUL”
アルシネテラン/ファティ・アキン作品
2005年/ドイツ=トルコ/カラー
/92min./ヴィスタ/ドルビー(SRD:SR)
3月24日~シアターN渋谷ほか全国〈地方は順次>

2007 03 23 [記者会見レポート] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

Mar 22, 2007

まだまだ続く、“ヴィスコンティ生誕100年祭”

今年、初めての更新です。すっかりご無沙汰になってしまいました。実は、遅れて進行中だった、僕も少しお手伝いしているもう1つの「ヴィスコンティ・イベント」の詳細がそろそろ決まりそうで、それを待って更新しようと思っていたのです。

ところが、いろいろ調整事項があり、詳細の決定にはもう少し時間が掛かりそうで……。
そこで今回は、ひとまず、昨年から続いているクレストインターナショナル配給「ヴィスコンティ生誕100年祭」の現時点での上映情報を整理しておきます。

Visposter

「ヴィスコンティ生誕100年祭」上映スケジュール

上映作品 『山猫 イタリア語・完全復元版』
     『ルートヴィヒ 完全復元版』
     『イノセント 完全復元&無修正版』
〈兵庫〉シネカノン神戸        ~3月23日
       
www.cqn.co.jp/THEATER/cqnkobe
〈広島〉サロンシネマ          3月31日~4月13日
       
www.saloncinema-cinetwin.jp
〈三重〉進富座 2007年4月
〈札幌〉シアターキノ 2007年5月
  ほか全国順次開催
  配給:クレストインターナショナル
  公式サイト 
www.crest-inter.co.jp/visconti/index.html






ちなみに、昨年は「生誕100年没後30年」ということで、研究本も何冊か出版されました。これに関しても、まだ出版が遅れている物がありますが、かなり豪華な内容になるようなので、今から楽しみ。詳細が判ったらここでお知らせ致します。
「生誕100年没後30年」をきっかけに出版されたのは、現在のところ以下の3冊です。

「ヴィスコンティを求めて」 
柳澤 一博・著 東京学参(株) 2,625円

www.cine-pause.com/book.htm

「ルキーノ・ヴィスコンティ」
エスクァイア マガジン ジャパン 2,100円

www.esquire.co.jp/books/movie/index.html

「ヴィスコンティ(2) 高貴なる錯乱のイマージュ」
若菜 薫・著 鳥影社 2,310円

www.choeisha.com/eiga.html
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2007 03 22 [ヴィスコンティ映画祭] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

Mar 20, 2007

『ステップ・アップ』キャストインタビュー

「相手を思いやって信頼関係を作ることが必要だと思う」
(by チャニング・テイタム)


Stepup『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977)『フラッシュダンス』(1983)等、時代を超えて語り継がれる青春ダンス映画の名作に新たな1本が加わった。それが、音楽とダンスに魅せられた若者たちの成長と恋を綴った感動の青春サクセスストーリー『ステップ・アップ』(公開中~丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系)だ。

 2006年夏に全米で公開された本作は、夏公開作品を対象とした“高利益率ランキング”で、『ダ・ヴィンチ・コード』(2006)や『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』(2006)といった超大作と肩を並べ、堂々第5位にランクインした。「ちょうどアメリカにダンスブームがきていたのもヒットの要因だと思う。TVの“リアリティ・ショー”(高視聴率を誇る人気番組)でダンスが取り上げられ、世間がダンスに注目していたんだ。もちろん、いい映画だからヒットしたと思いたいし(笑)、日本でもそうであって欲しいよ」と主演のチャニング・テイタム。

 テイタムは、落ちこぼれ人生から得意のダンスで未来へのステップを踏み出す高校生、タイラーを演じている。「自分がどっちの方向に向いて進めばいいのか判らなかったところが役と似ている」という彼は、高校生の時にアメリカン・フットボール選手を目指し大学へ進む。だが、想像していたものとのギャップからフラストレーションを溜めた時期があったという。

 本作では、持ち前の運動神経の高さを発揮し、素人とは思えない程のダンスを披露したテイタム。「“ダンス映画のオファーが増えたか”って? う~ん。いや、そんなことないかな。あっ、1つあったね。上手く説明できないけど、“マトリックス”風のダンス映画の出演のオファーがあったけど、断ったよ(笑)」。

 そんな彼は、今は演技に執着しているという。「今後はザラザラした感じの役がやりたい。人から理解されがたい難しい役がいいな」。 

 最後に、春に向けて新しい出会いが多くなるこの時期、この作品での共演がきっかけで映画でジェナ・ディーワンと本当にラブラブになってしまった彼に、巧く人間関係を築くためコツ(!?)を聞いてみると……。「とにかくオープンでいること。相手のことを“こういう人だ”って決めつけずに、ありのままを見るようにすることだと思う。そして相手を思いやって信頼関係を作ることが必要だと思う。人間は1人じゃ生きられないし、演技やダンスも相手があって初めて成立するものだからね。友情を築くも一緒だと思うよ」。

取材・写真・文=勝丸 京子/Kyoko KATSUMARU(ライター)

プロフィール
チャニング・テイタム/Channing TATUM
1980年4月26日生まれ。アメリカ、アラバマ出身。23歳でCMに出演したのをきっかけに、俳優のキャリアをスタート。劇映画デビューはサミュエル・L・ジャクソン主演のバスケット・ドラマ『コーチ・カータ』(2005)。その他『スーパークロス』(2005)等に出演。今後が期待される新人俳優だ。

Stepup_02ステップ・アップ
“STEP UP”
エイベックス・エンタテインメント=松竹/アン・フレッチャー作品
2006年/アメリカ/100min/カラー/
スコープ/ドルビー(SRD、DTS、SDDS:SR)
公開中~丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系

2007 03 20 [記者会見レポート] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

Mar 11, 2007

『NARA:奈良美智との旅の記憶』スタッフインタビュー

「撮影という理由で、絵が出来上がる場所にいられるから、ドキュメンタリーが好きです」(by 坂部 康二)

01_1 世界から注目されるアーティスト、奈良美智がクリエイティブユニット“graf”と共に創り上げた展覧会「奈良美智+graf  A to Z」までの軌跡を辿ったドキュメンタリー映画『NARA :奈良美智との旅の記録』(公開中~ライズXほか全国〈地方は順次〉)。監督はこれまでTBS系のTV番組「情熱大陸」で、ギャラリストの小山登美雄や女優の小西真奈美らのエピソードを制作した坂部康二。「ドキュメンタリーは好きです。撮影という理由で、相手の場所に行けるし、今回だったら絵が出来上がる場所にいられたから(笑)」。

 この作品には、一度だけゼロから絵を描くシーンが入っている。しかし撮影前から、奈良が“絵の制作過程を撮影されるのがイヤだ”と知っていたという。「偶然の産物だったような気がします。何もないところから絵が刻々と出来上がっていく・・・・・・。それを目の当たりに出来る喜びもありましたけど、緊張しましたね。ゼロから撮れたのはその1回だけでした」。

 奈良の貴重な制作過程を撮れたのにはもしかしたら秘密があるかもしれない、と尋ねてみると・・・・・・。「特別なことはしていないです。ほぼ初対面から距離を縮めていることをやっていきました。いい撮影が出来るように取材の積み重ねていく。基本、イヤがることはしないようにしようと思って・・・・・・。アプローチとしてムリに踏み込む取り組み方もあるけど、今回はしなかった。それによって見えてくることもあるけど失うものもあるから、今回はそれを大事にしたいなと。それが正解だったか判らないけど」。

 カメラは空気のように奈良を写していくが、それは客観的でありながら主観的だ。特に奈良のカリスマ性を、韓国で出会った少女から浮き彫りにしている。「彼女がファンの集いで言った“哀しい時に奈良さんの名前を呼びます”という言葉に、奈良さん、ちょっとウルってしているんですよね。その時は気付かなかったけど(笑)。それがずっとひっかかって……。それで、奈良さんを巡る様々な人が見えたらいいな、と思ったんです。奈良さんと関わる人を映すことで奈良さんが見えればいいな、と。それはgrafや奈良さんに関わった人たち含めて」。

 この作品から“アーティスト”奈良美智の新たな一面が見えてくるのは間違いない。

プロフィール
坂部 康二(さかべ こうじ)
1973年9月21日生まれ。福島県出身。1996年よりTV情報番組のアシスタント・ディレクターとして番組制作に携わる。ドキュメンタリーを中心に、演出兼撮影を担当。本作が劇場公開映画のデビュー作となる。

NaraNARA:奈良美智との旅の記憶
東北新社/坂部 康二 作品
2006年/日本/93min./カラー/ヴィスタ/ドルビー(SRD:SR)
(C)2007 東北新社All Rights Reserved.
公開中~ライズXほか全国(地方は順次)

取材・写真・文=勝丸 京子/Kyouko KATSUMARU

2007 03 11 [記者会見レポート] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

Mar 04, 2007

第79回(2006年度)アカデミー賞を分析する

今のアメリカ映画の傾向を物語る受賞結果

 今年のアカデミー賞は例年にも増して“功労賞”の色が強かった。作品、監督賞候補に『ドリームガールズ』と監督ビル・コンドンが入らなかった時点で、私自身は今年のオスカーの行方に興味を失った。あの素晴らしいミュージカル映画を主要部門から外してしまうところに、現在のアカデミー賞の低調さが伺える。

Academy







 作品賞『ディバーテッド』と監督マーティン・スコセッシの監督賞初受賞は私の周りでは不評だが、リメイクとシリーズ物が主流となった今のアメリカ映画の傾向を『ディバーテッド』の受賞ほど如実に物語っているものはない。順当な選択だった。スコセッシは当然『タクシー・ドライバー』(1976)か『レイジング・ブル』(1980)、その2作品が無理でも『グッドフェローズ』(1990)で受賞させておくべきだった。あまりにも遅すぎる。功労賞の意味合いが大きい受賞だ。
 時代遅れの70年代ニューシネマ風の『リトル・ミス・サンシャイン』で助演男優賞を受賞したアラン・アーキンにしても反戦、厭戦をテーマにした『キャッチ22』(1971)で主演賞を受賞していても良かった。「今までオスカーを上げられずにごめん」という気持ちが託された受賞だと思う。可哀相なのはエディ・マーフィだ。助演賞受賞を逃したショックのあまり授賞式途中で帰宅してしまった。80年代『ビバリーヒルズ・コップ』シリーズが大当たりしていた頃、かなり威張っていて、ハリウッド関係者に反感を買っていた。そのツケが20年経って回ってきた。
 女優陣の主演、助演の受賞は当然の結果。予想通り。最も驚いたのは『不都合な真実』の長篇ドキュメンタリー映画賞だ。この映画のどこがいいのか、私には判らない。演説としては一流でも、映画としての体を成していないと思うのだ。今、日本でこの映画を否定することがご法度みたいになっているようだが、“京都議定書”にサインをしない国が創った環境告発ものに説得力があるとは思えない。ハリウッド関係者がこの映画を選択した真意をぜひとも知りたい。
text by 田沼 雄一/Yuichi TANUMA (映画評論家)

《受賞結果一覧》
作品賞 『ディパーテッド』(WB) 公開中
監督賞 マーティン・スコセッシ
『ディパーテッド』
主演男優賞 フォレスト・ウィッテカー
『ラストキング・オブ・スコットランド』(FOX) 3月10日公開
主演女優賞 ヘレン・ミレン
『クィーン』(エイベックス・エンタテインメント) 4月公開予定
助演男優賞 アラン・アーキン
『リトル・ミス・サンシャイン』(FOX) 公開中
助演女優賞 ジェニファー・ハドソン
『ドリームガールズ』(UIP) 公開中
オリジナル脚本賞 『リトル・ミス・サンシャイン』
脚色賞 『ディパーテッド』
外国語映画賞 『善き人のためのソナタ』(アルバトロス・フィルム) 公開中
撮影賞 『バンズ・ラビリンス』(キュービカル・エンタテインメント) 秋公開予定
編集賞 『ディパーテッド』
歌曲賞 “I Need To Wake Up”『不都合な真実』(UIP) 公開中
作曲賞 『バベル』(ギャガ・コミュニケーションズ) 4月28日公開
長篇ドキュメンタリー賞 『不都合な真実』
視覚効果賞 『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』(BV) 公開終了
衣裳デザイン賞 『マリー・アントワネット』(東宝東和=東北新社) 公開中
メイクアップ賞 『バンズ・ラビリンス』
美術賞 『バンズ・ラビリンス』
長篇アニメ賞 『ハッピーフィート』(WB) 3月17日公開
録音賞 『ドリームガールズ』
音響効果賞 『硫黄島からの手紙』(WB) 公開中
短篇実写賞 “West Bank Story” 公開未定
短篇ドキュメンタリー賞 “The Blood of Yingzhou District” 公開未定
短篇アニメ賞 “The Danish Poet” 公開未定

2007 03 04 [シネマニュース] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック