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Jul 09, 2007

Vol.1 『REDS』 圧巻の3時間16分! この大作は時を超える名作だ!!

 素晴らしい画質とサラウンド音響によるDVD版で『レッズ』(1981)を観直し、監督・主演・共同脚本(トレヴァー・グリフィス)のウォーレン・ビーティのこの作品に注いだ情熱に改めて感動した。上映時間3時間16分。途中休憩の入った大作映画。準備から完成までおよそ5年の歳月を費やした。1910年代の、世界が混乱していた時代の荒れた空気を画面の隅々にまで表現したビーティの演出は今観ても手応え充分だ。画面の密度が濃いこういう大作映画はもう創られることはないかもしれない。

Dvd_reds

 アメリカ人でロシアのクレムリンに埋葬されたジャーナリスト、ジョン・リードの激動の半生を描いている。リードは1917年のロシア革命を取材した名著「世界をゆるがした十日間」(岩波文庫刊)を著し、世界にロシア革命の実態を伝えた。
 『レッズ』は1981年のアカデミー賞で監督、撮影(ヴィットリオ・ストラーロ)、助演女優(モーリン・スティプルトン)賞を受賞した。同じ年に公開された『炎のランナー』(1981、ヒュー・ハドソン/作品、脚本、作曲、衣裳デザイン賞受賞)『黄昏』(1981、マーク・ライデル/主演男優、主演女優、脚色賞受賞)とかち合わなければ、ビーティは作品賞と主演男優賞、リードの妻ルイーズ・ブライアント役を演じたダイアン・キートンは主演女優賞を獲得していたかもしれない。日本では1982年4月に公開された。アカデミー賞受賞の翌月公開で話題は豊富、マスコミの評判も良かった。それでも当時は3時間を超す上映時間がネックになって興行側に嫌われた。一日の上映回数が少ない、客の回転が悪い、というのがその理由だった。中には休憩を挟まずに3時間16分ぶっ通しで上映した映画館もあった。当時宣伝をしていた人に「“せめて2時間以内にならないものか本国に問い合わせて欲しい”と興行側から要望が出された」と訊かされたことがある。
 勿論、どんなに時間が掛かろうとも納得するまで何度も撮り直すビーティが、日本の興行者の意見に耳を貸す訳がない。何しろ、ロシアの病室での静かな出来事を通路から据えっぱなしで撮った1分弱の、映画史上に残るあのラストシーンに「何と10日間も掛けたんだとさ」とパラマウント映画の元副社長で製作部門の最高責任者を務めたロバート・エバンズを呆れさせた程の〈完全主義者〉である。『レッズ』はエバンズがパラマウント映画に在籍していた1970年半ばに企画が持ち込まれ、一旦はエリア・カザン監督、ビーティとキャンディス・バーゲン主演で製作されることが決まったが、カザンの体調不良で製作中止となった。エバンズは相当悔しがったそうだ。
 その後、ビーティが独力で製作準備を進めたという訳だ。特典映像に収録されている彼へのインタビューで初めて知ったのだが、『レッズ』を監督するため、わざわざ監督修行と製作費捻出を兼ねてロマンチック・コメディ『天国から来たチャンピオン』(1978)を手掛けたのだそうだ。『レッズ』は監督2作目。しかし大ベテランのような風格と堂々とした演出で3時間16分を一気に見せる。特に第1部の終盤、休憩直前のシーン、有名な革命歌「インターナショナル」が流れる中、ロシアの労働者らと共に革命運動に参加するリードとブライアントを溢れる躍動感で描写したくだりが素晴らしい!
キートンの若々しさと凛々しさ。ビーティの溌剌とした豊かな表情。当時、ビーティは映画デビューから20年目、キートンは11年目だったが、まるで気鋭のスターのように新鮮に見える。あの頃の2人はリードとブライアントと同様、私生活でも仲睦まじかった!

Text by 田沼 雄一/Yuichi TANUMA(映画評論家)

2007 07 09 [Pick UP! DVD] | 固定リンク

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