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Aug 23, 2007
『ベクシル 2077 日本鎖国』スタッフインタビュー
「この作品で描いた世界は、結構現実的だと思っているんですよ」(by 曽利 文彦)
21世紀初頭、バイオテクノロジーやロボット産業の市場を独占していた日本に対し、国連は安全性や倫理的な問題から技術規制を強化しようとした。しかし日本政府はこれに反発し、2067年からハイテク技術を駆使した“完全なる鎖国”をスタートさせる。それから10年。鎖国によりベールに包まれた日本の内情を探るため、米国特殊部隊“SWORD”の精鋭が日本へ潜入する……。
今から70年後の日本の姿を3Dライブアニメという最先端の技術で映像化した『ベクシル 2077 日本鎖国』(8月18日~丸の内プラゼールほか全国)。監督はVFXスーパーバイザーとして日本やハリウッド映画界で活躍する曽利文彦。実写とVFXを融合した大ヒット作『ピンポン』(2002)の監督、3Dアニメ『APPLESEED アップルシード』(2004)のプロデュース等を経て、今回自らの監督で新たな3Dライブアニメを実現させた。そのきっかけを訊ねると、「今はメールや携帯等のテクノロジーによってサポートされたコミュニケーションが多く、相手と直接対話をする機会が少なくなっています。個人間のコミュニケーションの不足、情報だけでつながる個人と個人の社会から情報が遮断された時に個人が見えなくなる恐怖を感じたことが、この作品へのイメージに拡がっていきました」。
曽利が得意とする最先端技術によって人間の原点を見つめ直したこの作品だが、実写よりCGを選択したのは何故だろうか? 「今回、3Dライブアニメにしたのは、このレベルの物語を実写化するの日本ではまだ難しいから。でもこの作品に関して言えば、自分の中ではアニメというよりも実写と同じ意識で撮りました。それはとても画期的なこと。というのも、今までの日本映画では実写化できないスケールの物語は諦めざるを得なかったのが、CGを使うことで実写の演出論のまま映像化できる時代がきた、ということなんですから!」。
その言葉通り、布や煙、砂埃や雪等の柔らかい物の質感はもちろんのこと、キャラクターの繊細な表情やアクションをリアルに描いた技術は圧巻だ。ロカルノ映画祭オープニング上映を皮切りにその映像クオリティの高さが世界各国から絶賛され、邦画では異例の世界75カ国での上映が既に決定している。「最初からインターナショナルコンテンツを目指していたので、世界中の人たちに観てもらいたいという意識がありました」と自信を持って語る曽利。
そんな彼にテクノロジーの未来を聞いてみると、「この作品で描いた世界は、結構現実的だと思っているんですよ。アンドロイドがどれぐらい進化するかということは別にしても、世界情勢やその周辺の細かいところは結構あり得る範囲ではないかと……。個人的にはテクノロジーはそれほど進まないんじゃないかとも思いますが、これからの人類は寿命を操作し始めるような気がします」。
映像だけでなく、個人間のコミュニケーションを忘れた時に起りうる日本の姿もリアルなこの作品。映像だけではなく、その奥にあるテーマにも注目ながら観たい。
取材・写真・文=勝丸 京子/Kyoko KATSUMARU(ライター)
プロフィール
曽利 文彦/Fumihiko SORI
1964年(生年月日不詳)生まれ。大阪府出身。映画、テレビのVFXスーパーバイザーとして活躍中の1996年、ジェームズ・キャメロン創設のデジタルドメイン社に参加。『タイタニック』(1997)でCGアニメーターを務めた。邦画では『アンドロメディア』(1998)、『秘密』(1999)、『ケイゾク/映画』(2000)等でVFXスーパーバイザー。その他、TBS系の『百年の物語』(2000)、『池袋ウェストゲートパーク』(2000)等、数多くのTV番組のタイトルバック、VFXシーンを担当。2002年、斬新な映像が話題を呼んで大ヒットとなった『ピンポン』で監督デビュー。2004年には『APPLESEED アップルシード』をプロデュース。デジタル映像に関して世界でもトップクラスの知識と能力を持つ映像クリエイターである。
『ベクシル 2077 日本鎖国』
松竹/曽利文彦作品
2007年/日本/107min./カラー/
ヴィスタ/ドルビー(SRD:SR)
©2007『ベクシル』製作委員会
8月18日~丸の内プラゼールほか全国
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