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Aug 31, 2007

『厨房で逢いましょう』スタッフインタビュー

「エーラーの料理を食べて自分の価値観を見直したね」(by M・ホーフマン)
「私は好きなものを好きなように作っただけ」(by F・エーラー)

Tyuubou02 料理の腕は超一流だが口下手。そんな孤高の天才シェフ、グレゴア(ヨーゼフ・オステンドルフ)が、平凡な主婦エデン(シャルロット・ロシュ)に恋してしまう。でも彼が出来ることは、彼女の胃袋と食欲を満たしてあげることだけ。やがて彼女への熱い想いは看板料理である“官能料理(エロチック・キュイジーヌ)”へと注がれ、その味は人々の舌と心をとろけさせてゆくのだが……。

 それが、“食欲の秋”が近づいてきたこの季節にピッタリの、心と目に美味しい大人の恋の映画『厨房で逢いましょう』(8月25日~Bunkamuraル・シネマほか全国〈地方は順次〉)だ。今回は、既に公開が始まり好調な動員を続けているこの作品の監督、ミヒャエル・ホーフマンと、作品のためのオリジナル料理を創作した料理人、フランク・エーラーに話を聞いた。

 「とにかくヨーゼフ・オステンドルフをシェフ役に起用したかったんです。彼は“楽しむことに重きを置く人間”で、美食にお金を惜しまない人。大きなお腹を持つことを人生の目的にするなんて凄く魅力的だよ! それに僕は、“美味しい料理が人生を変える”という考え自体があるのかどうか自分でも確信がなかったけど、(フランク・)エーラーの料理を初めて食べた時にそれを確信できたんだ。美味しい料理って、自分が持っている価値観をもう一度見直すきっかけになったり、“マテリアルなことばかりを重視しすぎていたのではないか?”と考えさせてくれるんだよね」と作品のきっかけについて話すのはミヒャエル・ホーフマン。

 彼が語るように、スクリーンに映し出される、巨漢のグレゴアが素材を愛おしそうに料理する姿や、彼の料理を文字通り“皿を舐めて”楽しむ登場人物たちの姿等が、私達も共感できるたくさんの“喜び”を再認識させてくれる。

 Tyuubou01そして、もう1つの主役とも言える映画のオリジナル料理を手掛けたのが、監督の料理への価値観を変えたフランク・エーラー。ドイツの5つ星ホテル「エルププリンツ」の料理長を務め、数々のレストランガイドや批評家から絶賛されている。「料理をする時はまっさらな気持ちで向き合うんだ」という彼は、「監督から“エロチック・キュイジーヌ”についてのアイデアや指示があったわけではなく、私が私の好きなものを好きなように作っただけ。“何を作るのか”が問題なのではなく、“どう作るのか”が問題でした」と今回の料理について語ってくれた。

 しかし劇中登場するチョコ・コーラ・ソースだけは……。「もちろんそんな物は存在しません。エーラーはそのソースを作って(再現)くれたけど“ふざけた代物だ”と怒っていたんだよ。冗談で“それならいっそレシピを教えてくれ!”って言ってたよ(笑)」とホーフマン。エーラーも100%自由には出来なかったようだ……。 
 
 ところで、そんなエーラーによって筆者も価値観を覆されたことが……。それは“たばこ”。料理人はたばこを吸わないと思っていたのだが、エーラーは取材中、気持ちよさげにたばこをスパスパ。思わず“たばこを吸うんですね・・・”と尋ねると、「たばこを吸うことによって味覚に影響が出るわけではないし、私が作った料理の味に影響が出ることもないよ。例えば音楽を操る人がハーモニーを理解しているように、色彩、私の場合は材料を見ればどのような味になるか判るので、自分の料理を試食する必要はないんだ。だから何も問題はないんだよ」。
 さすがは5つ星シェフといったところ!? そんな彼による料理がスクリーンを埋め尽くすこの作品。くれぐれも空腹時に観ないようにご注意を……。

取材・写真・文=勝丸 京子/Kyoko KATSUMARU(ライター)

プロフィール
ミヒャエル・ホーフマン/Michael HOFMANN
1961年(生月日不詳)生まれ。出身国・地不詳。放浪の旅をし、フランスの映画学校FEMISで学んだ後、1988年から1990年にかけてCMスポットを製作。1991年以降、フリーの脚本家、監督として活動。1994~1995年、ミュンヘンの脚本学校の奨学生となる。1998年、初の劇映画“DER STRAND VON TROUVILLE”で製作・監督・脚本を手掛ける。2作目の“SOPHIIII!”(2001)でドイツ映画賞監督部門支援賞を受賞。3作目となる本作では2006年ロッテンダム映画祭観客賞、2006年ペサロ映画祭観客賞を受賞した。今後の活動に注目したい。

フランク・エーラー/Frank OEHLER
1964年5月9日生まれ。ドイツ、ムッセンハウゼン出身。1978年から1981年までドイツの名店“レストラン・ベンツ”で修行した後、ドイツ南部のリゾート地、ムルナウの“レストラン・アルペンホーフ”、湖畔ホテル&レストラン“ズィーバー”、バイエルン北部の町、ヴェルトハイムの“シュヴァイツァー・シュトゥーベン”で料理に励む。その後、ロンドンのアントン・モシマンの店で副料理長を務め、スイス、バーゼルの“トイフェルホーフ”でも同じく副料理長となる。1995年に自らオーナーを務める“D’Rescht”を開店。そして2005年には5つ星ホテル“エルププリンツ”の料理長となった。数々のレストラン・ガイドで絶賛される料理人だ。そのモットーは“美味なるものに論争の余地はない”。

Tyuubou03厨房で逢いましょう
“EDEN”
ビターズ・エンド/ミヒャエル・ホーフマン作品
2006年/ドイツ=スイス/98min./カラー/
ヴィスタ/ドルビー(SRD:SR)
8月25日~Bunkamura ル・シネマほか全国(地方は順次)

2007 08 31 [記者会見レポート] | 固定リンク

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