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Dec 04, 2008
『英国王 給仕人に乾杯!』公開記念“メンツェル映画祭”
チェコを代表する世界的な巨匠イジー・メンツェル(1938年2月23日生まれ。チェコ〔チェコスロバキア〕、プラハ出身)。心に沁みる“現代の寓話”を紡ぎ続け今年70歳を迎えた彼の最新作『英国王 給仕人に乾杯!』(2007)が、12月20日(土)からシャンテシネほか全国(地方は順次)で公開される。またそれに合わせ、代表作2作品を特別上映する“メンツェル映画祭”の開催が決まった。
メンツェルは、28歳の若さで発表した長篇第1作『厳重に監視された列車』(1966)でいきなりアカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞。一躍世界的脚光を浴びる。だがその頃、チェコスロバキアには“プラハの春”に対するソ連による“弾圧の嵐”が吹き荒れていた。そうした中で発表された『つながれたヒバリ』(1969)は、心に沁みる優しい寓話という顔の裏に鋭い体制批判を忍ばせた傑作となったが、それ故に完成と同時に公開禁止処分となる。だが20年後、処分解禁になり、ベルリン国際映画祭金熊賞(グランプリ)受賞。それは異例の快挙だった。笑いと愛が溢れ、厳しさの中にも温かなまなざしを忘れない――そんな作風に魅せられるファンは世界中に多い。とはいえ、政府の厳重な監視下に置かれていたせいか、日本で正式公開されたメンツェル作品は僅か4作品。『スイート・スイート・ビレッジ』(1988.4.9公開)に始まり、『つながれたひばり』(1990.8.25公開)、オムニバス作品の一挿話『10ミニッツ・オールダー イデアの森「老優の一瞬」』(2003.12.20公開)、そして『英国王 給仕人に乾杯!』。『厳重に監視された列車』は今回が初の正式公開となる。
『英国王 給仕人に乾杯!』の舞台は、ナチス・ドイツ占領下のチェコスロバキア。田舎町のホテルのレストランでビール注ぎの見習いとなったヤン(二人一役:I・バルネフ〔青年〕/O・カイゼル〔老年〕)は、やがてプラハで最高に美しいホテルの給仕人となる。それは順調な人生のように思えたが……。“不運は幸運とドンデン返し”。そんな運命に翻弄されながらも激動の時代を生き抜いたヤンを通して綴られるのは、激動のチェコ現代史だ。こう書くと堅苦しく感じてしまうが、決してそんなことない。甘美な映像と贅沢な音楽、そしてあくまでも軽やかな語り口。“ビール王国”チェコならではの美味しそうなビールがたくさん出て来るのは嬉しいおまけ。厳しい物語ながら不思議と豊かな気分になって来る。これは、大人を満足させる繊細さと洗練を持った“現代の寓話”だ。この機会にぜひ、豊かな時が静かに流れるメンツェルの世界を堪能して欲しい。
《『英国王 給仕人に乾杯!』公開記念――シャンテシネ特別企画●メンツェル映画祭》
フランス映画社配給/バウ・シリーズ作品
〈2008年12月6日(土)~12日(金)〉
●『スイート・スイート・ビレッジ』
出演:ヤノーシュ・バーン、マリアン・ラブダ、他
1985年/チェコ/カラー/102分/スタンダード/モノラル
※1986年モントリオール国際映画祭審査員特別賞受賞
〈2008年12月13日(土)~19日(金)〉
●『厳重に監視された列車』
出演:ヴァーツラフ・ネツカーシュ、イトカ・ベンドヴァー、他
1966年/チェコスロバキア/B&W/スタンダード/モノラル
※1967年アカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞
〈新春第1弾公開:2008年12月20日(土)~〉
●『英国王 給仕人に乾杯!』
出演:イヴァン・バルネフ、オルドジフ・カイゼル、他
2007年/チェコ/カラー/120分/ヴィスタ/ドルビー(SRD:SR)
※2007年ベルリン国際映画祭国際映画批評家連盟賞受賞
2007年チェコ金獅子賞
最優秀作品・最優秀監督・最優秀助演男優・最優秀撮影賞受賞
シャンテシネ(電話 03-3591-1511) ※全席指定/初回を除く
※タイムテーブル、料金、等の詳細は直接劇場にお問合せ頂くか劇場HPをご覧下さい。http://www.tohotheater.jp/
※作品の詳細、シャンテシネ以外での上映情報につきましては配給会社HPをご覧下さい。http://www.bowjapan.com/index.php
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» 映画「英国王 給仕人に乾杯!」(2006年、チェコ) from 富久亭日乗
★★★★★ 大金持ちを夢見たチェコの給仕の数奇な運命を 描いたドラマ。 原題は「OBSLUHOVAL JSEM ANGLICKEHO KRALE」、 英題は「I Served the King of England 」。 ◇ Jan Dite(青年期Ivan Barnev 、老年期Oldrich Kaiser ) は 小柄だが大金持ちになりたいという 大きな夢を持っている青年だ。 駅のソーセージ売りから、 田舎町のレストランの給仕になり、 そこで娼婦と知り合う。 やがて、金持ち相手の豪... 続きを読む
受信: Dec 26, 2008 8:07:53 AM
コメント
cordon-jさん、おはようございます。
コメント、ありがとうございました。
メンツェル作品、私はあまり観ていなんですが、
編集長によると『つながれたヒバリ』(1969)がとてもいいそうです。
DVDになっていないのであまり観る機会もないかもしれませんが、チャンスがあったらぜひ観てみて下さい。
あ、ビールとサラミ、美味しそうでしたよね(笑)。
投稿者: 編集部 (Jan 20, 2009 10:04:54 AM)
本作品は昨年末20日に日比谷のシャンテシネで観ました。『厳重に監視された列車』に続くメンツェル監督の作品です。
本作品は『厳重に~』の製作から40年以上経っており、洗練された表現でブルジョワジーの退廃した世界などが描かれていました。また、ストレートな性表現やおどけたような仕草も健在でした。
ストーリーは、主人公の現在と過去を交えながら、チェコ(旧チェコスロバキア)が蒙った圧政への忌避と、為政者に抵抗した人々への敬愛を込めた映画でした。非道な抑圧政策やブルジョワの腐敗した生活をコメディータッチで描きながらも、彼等の行為がいかに非人間的であったかを強烈に皮肉っていました。リーザの顔がヒトラーの顔に変わる瞬間は、劇場内に大きな笑いが起きました。また、圧政者やブルジョワジーに加担したチェコ人がいたことも、冷ややかに描いていました。
しかし、女体盛りやそれを見詰める男性達の視線は、どこか郷愁をもって描かれているような印象でした。また、ドイツが敗戦に向かう状況を、手足を失った人々で表象する場面に不快感を覚えました。これでは圧政者に向けた侮蔑を障がい者にもダブらせてしまいます。チェコ国民の恨みがそれほど強いということなのでしょうか。
とはいえ、全体としてはメンツェル監督らしい軽快でシニカルな笑いの中に、非常にシリアスなテーマをさり気なく散りばめることで、観客の心に深く刻み付けたと思います。
映画はチェコのビールを自慢する場面で終りますが、監督のチェコに対する深い愛情と誇りが感じられました。きっと、チェコの人々はこの映画を観た後に、ピルスナービールでも飲みながら映画談議で盛り上がるのでしょうね。羨まし。
投稿者: cordon-j (Jan 18, 2009 2:45:03 PM)
cordon-jさん、おはようございます。
不安定なお天気が続きますが、体調など崩されてはいませんか?
記事を読んでメンツェル映画祭を観に行って下さったんですね。
ありがとうございました。昔からメジャーが手掛けない作品を配給して来たフランス映画社が、ようやく休止状態(3年間ぐらい新作がなかったかな……)から復活した作品なので、編集部としても応援しているので嬉しいです。
また感想など聞かせて下さいね。
投稿者: 編集部 (Dec 22, 2008 10:41:34 AM)
貴サイトでイジー・メンツェル監督のことを知り、とても興味を持ちましたので、先週土曜日に日比谷のシャンテシネで『厳重に監視された列車』を観ました。この映画館は先月の『ボーダータウン』以来、2回目です。新作でないためか値段が1300円でお得でした。そういえば『ボーダータウン』の感想を書いていないですね。
本作品は、英語本来の意味でのnaiveな主人公ミロシュが童貞を喪失するための苦悩と、その後の悲劇を描いた映画でした。ミロシュ役の俳優はやせ細り、不気味な感じの眼をしているので、アダムスファミリーの一員のようでもありましたが、主人公の気弱で一途な性格を見事に体現していました。
映画の前半は駅舎の日常風景が淡々と展開するだけなので退屈でしたが、車掌のマーシャとの一夜が不首尾に終わり自殺を試みるあたりから、妙な可笑しさを感じるようになりました。多分、セックスしか念頭にない男が如何に滑稽な行動をとる動物かということを揶揄しているからでしょう。
一方で女性の逞しさと怖さも感じました。『アガメムノン』のクリュタイメストラの時代から『ミスティック・リバー』のショーン・ペンを勇気付ける妻まで、気弱な男を勇気付けるだけでなく、時には男を悲劇へと導く役はなぜか女性ですね。
本作品では男女の性がストレートに表現されていましたが、特に主人公の先輩フビチカが夜勤のさなかにズデニチカを誘惑し、お尻にドイツ語のゴム印を押す場面には驚きました。ズデニチカ役のゼレノホルスカーさんが美人であり、プラハの春の期間とはいえ1966年の社会主義国で撮影された作品だからです。アンドレイ・タルコフスキー監督の『惑星ソラリス』でも女性の全裸シーンがありましたが、その時と同じような印象を持ちました。この時代の東側の性表現はきっと厳しいに違いないという先入観が私にあるからでしょうか。
映画の終盤では、ドイツ軍の軍用列車が駅を通過する時刻が刻々と迫る緊張感と、フビチカの不行状を非難する知事の弁舌のばかばかしさを対比させて、当時のチェコスロバキアの置かれた状況を暗示しているようでもありました。
帰り際に『英国王 給仕人に乾杯!』の前売り券を購入しました。18日に中澤さんが『ラースと、その彼女』の感想を掲載されたので、今週はこの2作品を鑑賞しようと思います。19日の読売夕刊にも『ラース~』が紹介されていましたが、鑑賞後に読むことにします。同ページには『懺悔』の紹介があり、こちらも気になりました。
投稿者: cordon-j (Dec 20, 2008 6:33:02 AM)

