PauseBLOG 記者会見・コラム

Jun 11, 2009

洋画に関心が薄い若者たちは……。


Nikki_20090611_2 『バーダー・マインホフ 理想の果てに』 “THE BAADER MEINHOF COMPLEX”
今夏~シネマライズほか全国公開(地方は順次)
公式サイト http://baader-meinhof.jp/

監督:ウリ・エデル 出演:マルティナ・ゲデック、モーリッツ・ブライプトロイ、他
2008年/ドイツ=フランス=チェコ/150min./カラー/ヴィスタ/ドルビー(SRD:SR).
配給:ムービーアイ ※R-15指定作品


『おくりびと』(2008、滝田洋二郎)の
第81回アカデミー賞最優秀外国語映画賞受賞は、
実は予想外だったらしい。
本命視されていたのは、
レバノン戦争帰還兵の心を
アニメーションならではの幻想的な映像を織り混ぜながら描いた
『戦場でワルツを』(2008、アリ・フォルマン)〈2009年公開予定〉。
そして、1970年代にヨーロッパ全土を震撼させた
“バーダー・マインホフ”グループを描いた
『バーダー・マインホフ 理想の果てに』。
完成度云々の問題ではなく、
“痛い”紛争が絶えないこの時代、
戦争や闘争を描く物語にいい加減疲れたのかもしれない。
『おくりびと』は少なくとも、
観た人たちの多くが穏やかな気持ちになれる作品だったと思う。

“バーダー・マインホフ”グループ、後の“ドイツ赤軍(RAF)”。
理想を胸に立ち上がった若者たちは
やがてコントロールを失い、テロリズムへと突き進んでいった……。
『バーダー・マインホフ 理想の果てに』は、
偶然か、『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)』(2008、若松孝二)と
ほぼ同じタイミングで完成。
当然比べられ、その結果評価が割れるだろうが、
題材は同じでも方向性が違うように思う。
こちらは意識的にエンターテインメント性へも針を振っていて、
重い物語にもかかわらず割と観やすい。

監督のウリ・エデルはかつて、『ブルックリン最終出口』(1989)という、
素晴らしいけど暗くて重い作品で思いっ切り気分を凹ませてくれた人。
それを思うとこの作品はとても口当たり良く感じてしまった。
製作、脚本は、『ヒトラー 最期の12日間』(2003)を手掛けたベルント・アイヒンガー。
“ドイツ映画界のタブー”を破った男は、
再び封印されていたドイツ現代史を開いてみせた。

最近の若い世代は洋画に対する関心が薄いが、
過去の若者たちの理想に燃えた闘争を描いたこの作品も
例外ではないという。
彼らは自分の手の届く範囲、
四畳半の出来事ににしか興味がないのだろうか。
尾崎豊の熱さに拒絶反応を起こす者もいるという世代。
彼らには、命懸けで世界を変えようとした若者たちの話など、
共感するしない以前に、観る気すらおきないのかもしれない……。
(編集長)

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Jun 03, 2009

“女性の伝記映画”に惹かれる私。


Nikki_20090603_1 『サガン―悲しみよ こんにちは―』 “SAGAN”
6月6日~Bunkamura ル・シネマほか全国公開
公式サイト http://www.sagan-movie.com/

監督:ディアーヌ・キュリス 出演:シルヴィー・テステュー、ピエール・パルマード、他
2008年/フランス/122分/ヴィスタ/ドルビー(SRD:SR)
配給:ショウゲート


いよいよ梅雨入り間近ですね。
窓ガラス越しに外の雨を見ながらひとりお茶をする、という時間が私は好きです。
この映画を反芻しながら、そんなひとときを過ごせたら、贅沢だなと思いました。
いわゆる“女性の伝記映画”には、とても興味を惹かれます。
この世に生を受け、少女時代を経て就職、結婚、出産、その後……
といった人生のいろいろな局面を、同性として疑似体験できるからかもしれません。

今日観てきたのは、『サガン―悲しみよ こんにちは―』。
フランソワーズ・サガンの人生は、
18歳の夏休みに書いたデビュー作「悲しみをこんにちは」をきっかけに
華々しく豪華に、世界中の注目を集めるようになりました。
でも、華麗な交友関係に彩られる日々は賑やかでありながら、どこか孤独でした。
お酒や浪費に溺れてあちこちで衝突を繰り返しながら、
何とか歩んでゆくひとりの女性作家。
燃費の悪い大型高級車で、
ガツガツと事故を繰り返しながら進むような生き方だと思いました。
何もかも大袈裟で、あれこれが凝縮された彼女の人生は、
やはり平凡な私たちとは違うのでしょう。
でも、不思議に共感できると思います。

彼女の人生を垣間見ることによって、
生きていく上での何かしらのヒントや励まし、慰めが得られるように思いました。
サガンを、最後にはとてもいとおしく感じる作品です。
皆さんもぜひどうぞ。

それではまた次回です♪
(中澤 有美子)

中澤有美子/Yumiko Nakazawa
Nikki_20090603_21975年4月26日生まれ。千葉県出身。テレビ信州のアナウンサーを
経てフリーに。TBSを中心に活躍中。セントフォース所属。
セントフォースHP 
http://www.centforce.com/
中澤有美子ブログ http://ameblo.jp/nakazawa-yumiko/
「安住紳一郎の日曜天国」HP http://www.tbs.co.jp/radio/nichiten/

2009 06 03 [試写室日記] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック

Jun 01, 2009

試写室日記をリニューアルします。


Nikki_20090601_3 『愛を読むひと』  “THE READER”
6月19日~TOHOシネマズ 日比谷スカラ座ほか全国公開
公式サイト 
http://www.aiyomu.com

監督:スティーブン・ダルドリー 出演:ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、他
2008年/アメリカ=ドイツ/124min./カラー/ヴィスタ/ドルビー(SRD、DTS、SDDS:SR)
配給:ショウゲート


更新頻度の低さを読者の皆様から度々ご指摘頂いているこのコーナー。
ホント、ご迷惑をお掛けしております。
そこで今回、少しでも更新頻度を上げるべく、リニューアルすることにしました。
軌道に乗るまで時間が掛かるかもしれませんが、よろしくお願いします。

最近の試写で一番良かったのは、
スティーブン・ダルドリーの6年振りの新作『愛を読むひと』。
ダルドリーの前作『めぐりあう時間たち』(2002)にはとても感動しましたが、
今回もまた素晴らしい作品でした。
ケイト・ウィンスレットのアカデミー賞最優秀女優賞受賞、納得です。
憧れ、初恋、心と肉体、そして秘密……
若すぎる男と年上の女、二人の間に秘められ切な過ぎる愛が、
心に深く静かに沁みました。
ナチス政権下を舞台に人間の尊厳を問う硬派な部分も持ちますが、
まずは“無償の愛”を切々と謳い上げた感動作です。
特集を組みましたので、詳細はそちらで。

ぜひご覧下さい。
(編集長)

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Mar 27, 2009

真剣勝負、とはこういうこと。

Nikki_1

例年より早く桜の開花が宣言され、いよいよ3月も終わり。新年度を前に、何だか心がしゃきっとするような気がしませんか?……それとも暖かいせいで眠いかな? 私は両方の状態を行き来しているような毎日です(笑)。そんな季節ではありますが、政界では“民主党代表の辞任”云々といったことも取り沙汰され、張り詰めた雰囲気です。そこで今回は、洋の東西を問わず普遍的な問題をダイナミックに扱った『フロスト×ニクソン』をご紹介します。この作品を観て、何となく眠たい毎日に気合が入るような思いがしました。
舞台は1977年のアメリカ。ウォーターゲート事件で大統領を辞任して以来、沈黙を守り続けたリチャード・ニクソン(フランク・ランジェラ)に、イギリスとオーストラリアのTV界で人気の司会者、デビッド・フロスト(マイケル・シーン)がインタビューを挑みます。政界復帰を目論みその申し出を受けるニクソンと、全米進出を狙うフロストの対決は、アメリカTV番組史上最高の視聴者数を記録し、今も語り継がれる伝説のトーク・バトルになりました。この作品では、その伝説の表と裏で繰り広げられたヒリヒリするような駆け引きが、エキサイティングに描かれています。
Nikki_20090327_1 『フロスト×ニクソン』
“FROST/NIXON” 
http://www.frost-nixon.jp/
3月28日~TOHOシネマズ シャンテほか全国

これまで私は、"インタビューされた人、そのインタビューを見た人、そしてインタビュアー、皆が良かったと思えるのが一番良いインタビュー"と思ってきました。しかし今回、その認識を新たにしました。格闘技、ここで負けたら人生は終わり、という、死闘としてのインタビューがあることが新鮮でした。まだ自分は、互いに人生の全てを賭けるようなインタビューを経験したことがありません。けれども、時にはそれぐらいの気概を持ってインタビューに臨むことが相手へ敬意を表すことになるのだと思いました。
Nikki_20090327_2 武器を持っている訳ではない。でも文字通り一対一の真剣勝負。話の内容だけでなく、視線の動かし方、汗の拭き方一つまでもが、TVのインタビューでは大きな意味を持ちます。笑顔で雑談する振りをして相手の靴をけなしたり……ということから始まる神経戦の側面もあります。知力、体力、精神力といった、総合的な生命力のぶつかり合いを巧みに表現した名優たちの表情も見所です。
それにしても、全米デビューへの野心があったとはいえ、「これは皆が見たいはず、社会に貢献するインタビューになる」という信念で、番組制作に私財を投じ、営業に奔走するフロストの姿には脱帽でした。また、4日間に及ぶインタビューの間には、圧倒的に不利な状況から立ち上がる底力を見せつけられ、私自身の内面にそのような燃える情熱があるか? と問わずにはいられませんでした。
この春から私も新しい仕事が増え、インタビューの機会が増えそうです。ここで得たことを心に留めながら、新しい出会いを楽しみにしていきたいと思います。

では、また次回です。

                                               27/3/2009 中澤 有美子

Nikki_nakazawapf
セントフォースHP http://www.centforce.com/
中澤有美子ブログ http://ameblo.jp/nakazawa-yumiko/
「安住紳一郎の日曜天国」HP http://www.tbs.co.jp/radio/nichiten/

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Feb 18, 2009

母親にとって、子供を失うなんて考えられない。

Nikki_1

不安定なお天気ですが皆さんお元気ですか? 来週はいよいよ第81回アカデミー賞の発表ですね。ノミネートされた作品、どれも観てみたいと思うものばかりです。今回は日本から、『おくりびと』(2008、滝田洋二郎)が最優秀外国語映画賞にノミネートされました。結果が楽しみです。
さて、今回ご紹介するのは『チェンジリング』。これも主人公演じたアンジェリーナ・ジョリーの熱演が評価され、最優秀主演女優賞の他、合計3部門でノミネートされています。

Nikki_20090218_1 『チェンジリング』 “CHANGELING” http://changeling.jp
2月20日~TOHOシネマズ日劇ほか全国

物語は実際にあった事件から書き起こされたものです。1928年、ロサンゼルス。シングル・マザーのクリスティン(A・ジョリー)の勤務中に9歳の息子が失踪します。5ヶ月後、イリノイ州で息子が保護されたとの朗報が入り対面してみると、それは息子に似た別の少年でした。ところが警察は、クリスティンの思い違いだと決めつけて無理やりその子を引き取らせた挙句、本当の息子を探してくれと訴え続けるクリスティンを精神病院に入れてしまうのです。我が子に会いたいという信念を力に、過酷な逆境に立ち向かうクリスティン。彼女の、母親としての勇気が光ります。
Nikki_20090218_2 子供を失い傷ついているクリスティンに降りかかる試練は容赦なく、しかし断固立ち向かう彼女の強さに終始圧倒されました。自分ならここまで闘えるだろうか。第一、子供が誘拐されたら、なんて、考えたくもない……。でも、母親にとって、子供のいない人生は考えられないのだ、ということは、実感として痛いほど判ります。傍から見たら、子供を捜し続けるその姿は痛々しいだろうし、時に奇異にも滑稽にも見えるかもしれない。けれど、我が子を取り戻すまで、心の平安、平静が訪れることは到底ありえない。A・ジョリーの演技には説得力がありました。やつれた様子、毅然とした様子、感情にうち震える様子、怒りを爆発させる様子、希望が顔に光射す様子、誰がどう慰めようと微笑を返し信念を貫き続ける様子……。それら全てが、繊細かつ力強さを備えた母親らしさを体現していたように思います。
母親の強靭な愛が、邪悪な犯罪を解き明かし、同時に腐敗した権力をも暴いていく。様々な側面を併せ持ったこの作品でも、クリント・イーストウッドは名監督振りを発揮しました。孤立無援のクリスティンを支える牧師、グスタヴ・ブリーグレブを演じたジョン・マルコヴィッチを始め、脇を固める役者もいい味わいです。

では、また次回です。

                                               18/2/2009 中澤 有美子

Nikki_nakazawapf
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Jan 28, 2009

懸命に生きる、ということ。

Nikki_1

インフルエンザが流行っていますが、皆さんは大丈夫ですか? どうぞお気をつけて下さいね。さて、イスラエルとガザ地区の不穏な動きは取り敢えず停戦の運びとなりましたが、確執は更に根深さを増したのではないかと危惧されます。つい、日本人には理解しづらい対立、と、縁遠い感じを抱いてしまいがちかもしれません。でも、周辺に暮らす普通の人たちのドラマを見れば、私たちと同じように喜び、悩み、苦しみながら懸命に生きていることを実感します。今回は、中東地域への理解、関心を深めるきっかけになりそうな2つの作品をご紹介します。

Nikki_20090128_1 『キャラメル』 “CARAMEL”
1月31日~ユーロスペースほか全国(地方は順次)

http://www.cetera.co.jp/caramel/

Nikki_20090128_31本目は『キャラメル』。レバノン、ベイルートの、世代の異なる五人の女性が集うエステサロンが舞台です。スクリーンの上に鮮やかな色使いで繰り広げられるのは、様々な登場人物の、等身大の日常。老いや異性関係、友情など、彼女たちの一喜一憂に共感しつつ、もがきながら前へ進む姿に励まされました。ちなみに『キャラメル』というタイトルは、レバノンの女性たちが脱毛する時に使う“砂糖を煮詰めたキャラメル状のペースト”からきています。その未知の脱毛法には文化の違いを感じますが、一方、“肌の手入れ”という共通の興味に親しみが沸きました。監督のナディーン・ラバキーは主演女優としても存在感十分。こんふうに伸びやかに活躍するアラブ女性がいることは1つの発見でした。
もう1本は『シリアの花嫁』。シリアとイスラエルの境界線、ゴラン高原に暮らす、花嫁とその家族の物語です。まず私たちは、ゴラン高原の地元住民がイスラエルによる占領を納得せず、結果、無国籍のまま日々を送っている、という事実に馴染みがありません。その特異な地域からシリアへ嫁いで一度シリア国籍が確定すれば、二度と故郷に里帰りできない。重い決心を必要とする結婚が、作品の軸になっています。そんな結婚にユーモラスに織り込まれていくのは、根強い民族愛、地域社会のまなざし、頑なな差別意識、男女それぞれの生きづらさ、といった様々な事象。強い抑圧の下で交わされる愛情や、未来を信じ、因習を振り切ってすっくと立ち上がる主人公たちの意思に、力強いものを感じました。
Nikki_20090128_2 『シリアの花嫁』 “SYRIAN BRIDE”
2月21日~岩波ホールほか全国(地方は順次)

http://www.bitters.co.jp/hanayome

どちらの作品も、観た後は描かれた風景が脳裏にちらつくようになりました。また、メディアでつい関連記事を探してしまいます。あたかも、知り合いの安否が気になるかのように。遠い世界、知らない世界に目を向かせる――映画には大きなパワーがありますね。

では、また次回です。

                                               28/1/2009 中澤 有美子

Nikki_nakazawapf
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Dec 18, 2008

こんな優しさがあれば、どんな時でも生きて行ける。

Nikki_1

寒い日が続きます。皆さん、風邪などひいてはいませんか? 何かと気忙しい時期ではありますが、クリスマスやお正月はやっぱり楽しみです。古くからの友人や親族に会って、旧知の仲を温める機会があるかもしれませんね。今回ご紹介するのは、そんな機会の前にぜひお薦めしたい作品『ラースと、その彼女』。さりげないけれど、本当に温かい人間関係に“ぽっ”と光を当てた素敵なお話です。

Nikki_lars1 『ラースと、その彼女』 “LARS AND THE REAL GIRL”
12月20日~シネクイントほか全国(地方は順次)

http://lars-movie.com/

Nikki_lars2 冬は雪に覆われる、小さなコミュニティ。ラース・リンドストロム(ライアン・ゴズリング)は、シャイだけど純粋で心優しい青年。幼い頃から暮らす小さな街の人々は、そんな彼のことを好ましい青年だと思っています。けれども家族は、年頃になっても恋人ができる気配もなく、独り実家の離れに暮らすラースの将来を案じていました。ある日、衝撃の事件が起きます。ラースに恋人が出来たのです。しかも驚くなかれ、恋人というのは、彼が自分好みにオーダーした等身大のリアルドール“ビアンカ”だったのです。どう見ても、本気で人形のビアンカを大切そうに愛おしみ、みんなに堂々と紹介するラース。もしも彼に対してごく当たり前の接し方をするなら、“頭がおかしくなった”と考えて治療に専念させるということだったかもしれません。でも、彼の家族と街の人々は違いました。最初こそラースの行動に“うっ” ときたり“ぎょっ”とする反応を見せますが、やがて受け入れ、包み込み、哀れむのではなくむしろ一緒に楽しみながら、共に時を過ごしていくのでした。
ちょっと変な人。はっきり言って怪しい人。でも、胸に手を当ててよく考えてみれば誰にでも、思いあたる危うい部分がある。異常な人だと境界線を引くのは少し待ってみないか。彼の問題が解決するまで見守ろうよ――そういう優しさが、この作品にはありました。自分の傍らにこんな人間関係があれば、人生のどんな局面でも、何とか生きて行けるんじゃないかな、と思いました。ラースの心の奥を垣間見て、取り巻く人たちの思いやりに触れて、気づくと私は上映中、ぽろぽろと涙をこぼしていました。それは、気持ちを柔らかくしてくれる、温かい涙だったように思います。

では、また次回です。

                                               18/12/2008 中澤 有美子

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Oct 29, 2008

子供たちが未来を諦めてしまう、という絶望。

Nikki_1
芸術の秋ですね。映画関連のイベントも目白押しです。映画館から出ると思いのほか陽が暮れていて、すっかり晩秋らしさに彩られた街。ひんやりした空気にもの哀しさなど感じながら観たばかりの作品を反芻する、なんてことが、たまらなく似合う季節です。
今回ご紹介するのは、第77回(2004年)アカデミー賞で最優秀ドキュメンタリー賞を受賞した作品、『未来を写した子どもたち』です。ようやく日本公開の運びとなりました。原題は“BORN INTO BROTHELS:CALCUTTA'S RED LIGHT KIDS”、「売春窟に産まれて:カルカッタの売春宿の子供たち」です。インド、カルカッタの赤線地帯で育つ子供たちが、イギリス人女性カメラマンから写真を教わることで変わっていく姿が捉えられています。そこに生まれた子供たちの運命は1つ。学校に通うことなく、女の子は母親たちの手伝いをし、いずれは身を売って生きていくのです。男の子は彼女たちの世話。もの心ついた時からすぐそばにある怒声、貧困、混沌。逃れられない未来に対する諦めが、澄んだ幼い心を侵していきます。
Nikki_mk1 『未来を写した子どもたち』   “BORN INTO BROTHELS:CALCUTTA'S RED LIGHT KIDS”
11月22日~シネスイッチ銀座ほか全国(地方は順次)※PG-12指定作品

http://www.mirai-kodomo.net/

Nikki_mk2 最初は売春婦を撮影するためにカルカッタの売春窟で暮らし始めたフォトジャーナリストのザナ・ブリスキでしたが、無邪気に自分の仕事やカメラに興味を示す子供たちに出会い、何とかしてあげたいと思うようになりました。そこでインスタントカメラ20台を与え、使い方を教えると、たちどころに彼らのまなざしに写る世界が写真となって現れたのです。外の世界を知り、やがて未来に対する夢を持つようになる子供たち。ただ、羽ばたく心を飛び立たせるには、習慣、迷信、役所の怠惰等、様々な困難が立ちはだかります。それでもザナの尽力で、小さな扉は少しずつ開かれていきました。
何処で産まれ、何を常識として育てられ、また次世代にどう受け継ぐか。多くの場合それは、“必然”なのかもしれない、と思います。個人に選択の自由があり、その積み重ねで人生が出来上がるようでいて、実は“やむを得ずそうなってしまっている”。誰でも程度の差こそあれ、そうした人生に甘んじて生きていかなければならないところはあります。でも、夢や努力が実を結ぶ可能性が全くのゼロ、という境遇はやはり絶望的というしかありません。
未だ身分制度が厳然と存在するインド。その最下層に属する運命を背負わされた子供たちの姿は、格差の拡がりが危ぶまれ、社会システム再構築の過渡期にあるといえる私たちにとって、自国の行く末を考える助けにもなるのではないかと思いました。
この作品の入場料金の一部は、子ども支援基金“KIDS WITH CAMERA”へ寄付されるそうです。興味のある方は、ぜひ映画館へ足を運んでみて下さい。

では、また次回です。

                                               29/10/2008 中澤 有美子

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2008 10 29 [試写室日記] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック

Sep 25, 2008

たまたまお金を持っている、ただそれだけのこと。

Nikki_1

スウェーデン発、売上高世界第3位の衣料品専門店H&Mが東京・銀座にオープンし、大行列になっています。これで銀座には、お馴染みのユニクロを始め、アメリカから来た首位のGAP、スペインから来た第2位のZARAと、世界のリーズナブルな有名大手カジュアル衣料品ブランドが勢揃い。衣料品メーカー最前線の様相を呈しています。いずれのブランドも、ひとたび裏返してタグを見れば、多くが“MADE IN CHINA”。今や“世界の服飾工場”ともいえる中国製です。ただ、それらを中国のお針子たちが、どんな表情で、どんなことを考えて、どんな暮らしで作ったかを想像することは、これまであまりなかったかもしれません。この『女工哀歌(エレジー)』を観たら、ただの記号に過ぎない“MADE IN CHINA”のタグに、10代の少女たちの顔が見え、息遣いが感じられるような気がしました。
Nikki_cb1 『女工哀歌(エレジー)』 “CHINA BLUE” http://www.espace-sarou.co.jp/jokou/
9月27日~渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国(地方は順次)

Nikki_cb2 中国では、実に1億3,000万人が出稼ぎで職を得ているといいます。家計を支えるために農村から出て来る人々の多くは、最低の賃金と法的保護のない過酷な労働条件の下、都会の人たちが選ばないような仕事に従事するのです。『女工哀歌』の主人公、ジャスミンは16歳。四川省から一人長旅をし、あるジーンズ縫製工場に就職します。糸切り係を受け持つことになった彼女の住まいは、同年代の少女たちとの12人部屋。狭い3段ベッドにひしめいて眠らねばなりません。午前8時に始まる仕事が深夜にまで及ぶ残業になることはしばしば。にも拘らず、コスト削減で短い納期に対応しようとする工場側は厳しい目を少女たちに光らせ、居眠りや外出等の規則違反などをすれば、ただでさえ少ない給料に容赦ない罰金を科すのです。しかも給料は遅配。びっくりするような悪条件ですが、中国政府は労働組合を非合法化していて、少女たちには戦う術がありません。更に、外国企業による視察には、さも権利が守られているかのように表向きを取り繕い、口裏を合わせて乗り切らなければならないのです。そこまでして働いても、実家に送金すればお正月に帰省することができず、寂しく寮で新年を迎えることになる少女たち。その胸の内はどんなものでしょうか……。ジャスミンが、若い女性らしいお茶目ないたずらを考えるところは微笑ましくもありますが、決してそれが救いには成り得ません。軽やかに綴られたこの作品が内包しているメッセージは、私に居心地の悪さ、罪悪感のような思いを抱かせました。
多国籍企業によるグローバリゼーションの名のもと行われる極端な利潤追求は、非人間的な犠牲を要求し、その歪みを悪条件で一手に引き受けることになる人たちが、貧しい地域、法的整備の届かない場所にいます。消費者としてその恩恵を享受できているのは、たまたまお金を持っているから、ただそれだけなのです。安いからといって、大して着ない洋服がクローゼットに増えていくこと、それは巡り巡って、悪条件で働かざるを得ない人たちの貧困に目をつぶりつつ自分の豊かさに酔うという、実に下劣なことなのかもしれません。『闇の子供たち』(2008、阪本順治)に続き、富める国に暮していること、だからこそ持つべき倫理観や品性について考えなければいけないと思わされた作品でした。

では、また次回です。

                                               25/09/2008 中澤 有美子

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2008 09 25 [試写室日記] | 固定リンク | コメント (2) | トラックバック

Aug 26, 2008

先月までとは一転、思わずホンワカしてしましました。

Nikki_1

北京オリンピックが閉幕しました。人生を懸けて競う、スポーツの祭典。皆さんそれぞれに、心を打たれたドラマがあったことと思います。開催国・中国ついても、以前より随分と詳しくなりましたよね。“奥林匹克”で「オリンピック」、“網民”で「インターネットユーザー」、“志願者”で「ボランティア」等々、中国語を新しく知ったりもして、中国という国が身近な存在に思えてきました。

Nikki_panda1 『パンダフルライフ』 http://www.pandaful.jp/
8月30日~新宿ピカデリーほか全国

今回は、その中国の代名詞の1つでもある“大熊猫”、「パンダ」のドキュメンタリー『パンダフルライフ』をご紹介します。パンダについては「あの容貌だが実は荒くれ者らしい」とか、「お産が軽いらしい」「赤ちゃんと添い寝中にうっかり下敷きにして死なせてしまうらしい」とか聞いたことがあり、かねてから一体どうなっているのかなと思っていました。この作品の舞台は、和歌山県白浜のアドベンチャーワールドと四川省成都にある中国最大のパンダ繁育研究基地。海外クルーによる産室の密着取材が初めて許され、今までほとんど知ることが出来なかったパンダの子育てが撮影されました。
Nikki_panda2 約100kgの母親パンダから産まれる約100gの赤ちゃんパンダ。1000分の1の体重で産まれるのですから、本当に本当にちっちゃいですよね。育てあげるのは大変なことです。でも、本来は肉食獣ながら氷河期の食糧不足を生き抜くため、雪の中でも確保できる竹を主食とするようになったという経緯からも、大変な子育てを乗り切っていくパンダの静かな力強さが伝わってきます。草食獣よりも短い腸で大量の竹を消化するのは難しく、だから食べてばっかり。そして、体力を消耗しないように寝てばっかりなのだそう。ふむ、なるほどなるほど……。
いたずら盛りの子パンダの、とっても速いダッシュやでんぐり返し、木登りが可愛くて可愛くて、また少し大きくなってからのっそりむしゃむしゃ竹を食べる様子にも、ついホンワカした気分になってしまいます。でも、いつも一緒だった兄弟パンダが大人になって単独行動をするために自ら乱暴に決別する場面、繁殖のために母子が引き離される場面には、思わず涙が出てしまいました。当たり前のことかもしれませんが、彼らの暮らしがのんびりして平和だと思っているのは私たちだけで、実際には厳しいものなのです。
およそ800万年前に現れ、悠久の時を生き抜き、今また絶滅の危機に瀕しているパンダ。毎日を自分たちのペースで、懸命に生きる彼らにとっては、巨額の取引の対象になったり国際外交の期待を一身に担うことなど、鼻息1つでフガッと吹き飛ばす程度のくだらないことなのかもしれません。今、子育てに奮闘中の私はこの作品に、長く繋がっていく生命の営み、その一瞬を生きている自分を、客観的に見た気がしました。
早くわが子に会って、ゴロゴロと抱きしめたくなりました。

では、また次回です。

                                               26/08/2008 中澤 有美子

Nikki_nakazawa
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Jul 29, 2008

あまりの悲しさに、席を立って逃げ出したかった……。

Nikki_1

夏本番です。休みを取って海外旅行に出掛けるチャンスですね。どこへ行くにしても、たとえ短くても、見慣れた日常や常識から抜け出すのっていいです。もしかしたらその旅は、いつか“何か”と繋がって、思いもよらぬものになっていくかもしれません。今回『闇の子供たち』を観て、以前訪れたタイ、バンコクの風景が、全く違う色となって呼び覚まされました。

Nikki_yami1 『闇の子供たち』 http://www.yami-kodomo.jp/
8月2日~シネマライズほか全国(地方は順次)

正直、席を立って試写室から逃げ出したいと何度思ったことでしょうか。目を背け、耳を塞ぎ、網膜に映ってしまったおぞましいシーンを永久に記憶から消し去りかった。でも、この地獄を現実として、今この瞬間も生きて行かなくてはならない子供たちがいる。彼らのような存在をなくすためにせいぜい私が出来ることは、まず彼らの生きる地獄を、映画という形で知ることなのだ、と思いました。
Nikki_yami2 この作品のストーリーは、タイの幼児買売春ビジネスを入口に、臓器売買の実態を暴いて行くというものです。梁石日氏の小説「闇の子供たち」が原作です。脚本化するにあたって阪本順治監督は、フィクションであって欲しい小説の内容が、緻密な取材に基づく現実であることにショックを受け、闇に引きずり込まれるような恐ろしさを覚え、映画化することの責任を「発狂する程に」感じたといいます。劇中では、貧しさのために親から売られた子供たちが強要される絶望的な仕打ちが、曖昧にぼかされることなく表現され、加害側の罪深さをあぶり出して行きます。タイの子役たちに大変な配慮をしながら進めたという撮影ですが、過酷だったであろうことは、想像に難くありません。
幼児買売春に関わる日本人は少なくないといいます。実際、日本ではこの問題に対しての意識が薄く、ネット上の児童ポルノサイトへの対策も遅れているのが現状。欧米に比べると“対策後進国”であるとの批判を受けています。
貧する国と富める国との関係性を始め、社会構造にまで根源が及ぶこのような問題を食い止めるために、自分には何が出来るのだろうと考える時、非常な無力感に苛まれます。このようなテーマを映画にするという難題に、果敢に取り組んだ阪本監督、そして力強い目で演じ切ったタイの子役たちに脱帽です。日本では、先の国会中にようやく、いわゆる“児童ポルノ禁止法改正案”が提出されました。醜い性的搾取や虐待の規制が速やかに行われ、1日でも早く悲しい現実がなくなって行くことを願って止みません。

では、また次回です。

                                               29/07/2008 中澤 有美子

Nikki_nakazawa
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2008 07 29 [試写室日記] | 固定リンク | コメント (6) | トラックバック

Jul 02, 2008

大事件の時のスタジオの息苦しさを思い出して……。

Nikki_1

梅雨時、いかがお過ごしですか。今回は、谷川岳のひんやりした空気と仕事場の蒸し暑い熱気とを同時に味わいました。極限状況に置かれた人間たちの姿を追った作品『クライマーズ・ハイ』をご紹介します。私は原作者・横山秀夫氏のファンなので、期待に胸を膨らませて観て来ました。
Nikki_cli1 『クライマーズ・ハイ』
http://climbershigh.gyao.jp/
7月5日~丸の内TOEI①ほか全国

この物語の軸は、520人が亡くなり、当時、単独機の事故としては「世界最大」といわれた“日航機墜落事故”。主人公は、御巣鷹山のある群馬県の地元紙・北関東新聞で、事故の全権デスクを命じられた記者・悠木和雅(堤真一)です。混乱する現場、報道合戦、新聞社内に渦巻く妬みや確執、悠木自身の親子関係の苦悩、友人との絆。未曾有の事件の渦中で公私共に追い詰められた悠木は、ある決断を迫られます。事故後の壮絶で濃密な一週間に、悠木の人生を絡めて描いたこの作品は、生きることや働くことの意義を観る人に問いかけます。

Nikki_cli2 作品には、映像ならではの印象的なシーンがいくつもありました。登山家たちを魅了し駆り立て、幾多の命を呑み込んできた谷川岳一ノ倉沢の衝立岩。その谷川岳登山の玄関口、上越線土合駅で見上げる486段の階段。生々しく再現された御巣鷹山の日航機墜落現場。局員たちから放出されるアドレナリンでどよめく地方紙の編集局。大ネタを目前にした鼓動の高まりが聞こえてきそうな記者たちの姿。そうしたシーンの積み重ねで、横山氏が小説に紡ぎ出した力強い言葉たちが、立体感を持って迫り来るようでした。
私は10年程、ニュース番組ばかりを担当していました。大きな事件が起きた時は報道局内の空気の密度が変わり、息が苦しくなるような思いをしました。でも、スタジオにいる時はそれに気がつかない。また家に帰りついても、その普通とは違う身体、心理状態から容易に抜け出せない……。タイトルの“クライマーズ・ハイ”は、登山の際に“興奮が極限に達し、恐怖を感じなくなる状態”のことだそうです。実はこの作品を観た後、私はどっと疲れを感じ、頭痛と吐き気を覚えました。目の前に広がった記者たちの緊張感と編集局の空気感に同調し過ぎてしまったか、あるいはもしかして“クライマーズ・ハイ”の疑似体験をしたのかもしれないな、と、今思っています。試写室を出ると、高ぶった神経をなだめるのに外の生ぬるい空気がありがたく感じられました。

では、また次回です☆。

                                               02/07/2008 中澤 有美子

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May 21, 2008

あのジュリー・デルピーが、今度も魅了してくれました。

Nikki_1

初夏ですね、本当にいい季節。新芽が日々膨らみ、次々に花開いて、都会の空気だって美味しく感じます。そんな気持ちのいい季節、大人の笑いを求めて映画館に足を運んでみてはいかがでしょう。今回はリアルな大人のラブ・コメディ、『パリ、恋人たちの2日間』をご紹介します。
ところで、「好きな映画は何ですか?」と質問されたら何て答えますか? 私なら、『恋人までの距離(ディスタンス)』(1995、リチャード・リンクレイター/原題“BEFORE SUNRISE”)とその続篇『ビフォア・サンセット』(2004、リチャード・リンクレイター)は欠かせません。ある若い二人の恋愛と、その9年後の再会を同じキャストで撮った、実に素敵な2作品なのです。それはもう身悶えする程に、憧れと共感を覚えるラブ・ストーリーです。未見の方は、ぜひ一度ご覧頂けると嬉しいです。その2作品でヒロインを演じたフランスの女優、ジュリー・デルピーが、監督・製作・脚本・編集・音楽・主題歌・主演という八面六臂の活躍で完成させたのが『パリ、恋人たちの2日間』。20代だった前作『恋人までの距離(ディスタンス)』でも、30代に入った続篇『ビフォア・サンセット』でも、ひときわ輝きを放っていたJ・デルピーは、今回も私を魅了してくれました。

Nikki_koibito_1『パリ、恋人たちの2日間』 “2 DAYS IN PARIS”
http://paris-2days.com/
5月24日~恵比寿ガーデンシネマほか全国(地方は順次)  ※PG-12指定作品

Nikki_koibito_2_3アメリカ人インテリアデザイナーのジャック(アダム・ゴ-ルドバーグ)とフランス人フォトグラファーのマリオン(ジュリー・デルピー)は、つき合って2年になるニューヨーク在住のカップル。二人は少々マンネリ気味になった関係を打破すべくヴェネツィアへバカンスに出かけ、帰りにパリで2日間を過ごすことになります。パリこそマリオンの生まれ故郷。ロマンティックな恋人たちの街です。ところが到着早々、二人の雲行きは怪しくなります……。「ヨーロッパのメトロはテロで危ない」と駅でごねたジャックは、マリオンのアパルトマンに着くと今度はその衛生状態に不満を隠しません。その後もフランス語しか喋らないマリオンの両親にいたずらされたり、次々と現れるマリオンの元カレたちが今だ親しげだったりして、どんどん不審感を募らせていきます。そして遂に、二人の関係に亀裂が入り始めてしまいます……。
ラブ・コメディは普通、政治的メッセージとかカルチャーギャップはもちろん、シニカルさも前面に押し出すことは避け、ノー天気な仕上がりになることが多いように思います。でもこの作品は、そうした要素をウィットに富んだ軽快な会話に乗せることで、ユーモラスに盛り込むことに成功しました。二人の恋の行方を追いながらたくさん笑った後で、配役といい演出といい、とにかくJ・デルピーの鋭さには舌を巻きました。本当に楽しい作品でした。

では、また次回です。

                                               21/05/2008 中澤 有美子

Nikki_nakazawa
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Apr 15, 2008

私、この作品にすっかり心を掻き乱されてしまいました。

Nikki_1

皆さん、もうお花見はなさいましたか? 桜前線を追いかけると、南北に長い日本列島ではゴールデウィーク頃までソメイヨシノが楽しめますよね。春が訪れ、花々が咲き誇る様を眺めていると、「穏やかな幸せを絵に描いたよう」と思います。でも、その瞬間にも、“陰謀”が着々と企てられているとしたら……。今週、アメリカの対テロ戦争を題材にした『大いなる陰謀』を観て、そんなことを考えました。
遠い国の出来事だからよく知らないし、関わる必要もない。たとえ知ったとしても何か行動出来るわけではない。ささやかでも楽しい今の生活を守ること、それで精一杯だ。泥沼化するアフガン情勢について突きつけられた時、まずそんなふうに思うのが当然だと思います。でもだとしたら、今起きていることは一体何なのでしょうか。この『大いなる陰謀』は、約1時間半という短い時間ながら、時事問題、政治、マスメディア、戦場、教育現場、安穏な暮らし……といういくつもの視点から、たたみ掛けるような強烈さで「自問」することを私に促してきました。
Nikki_ooinaru1

『大いなる陰謀』
LIONS FOR LAMBS” http://movies.foxjapan.com/ooinaru/
4月18日~日劇1ほか全国

“悪の枢軸を裁くのは我々正義の国”という旗印の下、世界情勢に介入して行く大国・アメリカ。でも、“9.11”同時多発テロを発端にした対テロ戦争は未だ終わる気配を見せません。“9.11”直後は一丸になっていたかに見えたアメリカ国民も、今や抱く思いは様々です。そうした状況を背景に、この作品では、同じ時代、同じ日、同じ時刻に起こる3つの物語が同時進行的に進んでいきます。
Nikki_ooinaru2 監督のロバート・レッドフォードは、自らも大学教授スティーブン・マレーを演じ、アフガニスタンに教え子を送り出した苦悩を語り、無関心を決め込む学生(アンドリュー・ガーフィールド)にその愚かさを説きます。トム・クルーズ演じる上院議員ジャスパー・アーヴィングは、更なる戦いに若者を駆り立て、その戦いを大統領候補になるための足掛かりにしようと画策し、メディアを利用することを考えます。そんなアーヴィングから独占インタビューの記者として指名されるのが、メリル・ストリープ演じる、かつて駆け出しのアーヴィングを評価した大物ジャーナリスト、ジャニーン・ロス。ロスはアーヴィングからアフガン極秘作戦をリークされ、どう報道するのか、またこれまで自分の関わってきたジャーナリズムとは何だったのかを省みることになります。そしてその頃、理想に駆られ出征した二人の学生(マイケル・ペーニャ、デレク・ルーク)は、兵士としてアフガンの戦場で絶望的な状況に立たされます……。
濃密なこの物語のどこに、皆さんの思いが反応するか判りません。私自身は、心を掻き乱され、内容や台詞を反芻せずにはいられないでいます。仕事柄、ロスに同調していくような気もしますが、まだまだ結論が見えてきません。
これは、複雑なテーマをハリウッドの大スター競演で見せた、緊迫感ある観応え充分の作品です。ぜひご覧になって、どう感じたかを身近な人と話しあってみて下さい。よろしかったら皆さんの感想も聞かせて下さいね。お待ちしています。

 では、また次回です☆。

                                               15/04/2008 中澤 有美子

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Feb 20, 2008

たとえ思いが果たせなくても、過った人生なんてないんです

Nikki_1

   もうすぐひな祭り。お雛さまを飾りました。実家から持ってきたもので、数年ぶりの再会です。今年は私が子供を抱いていて、お雛さまもびっくり仰天かな、と思っています。

   女の子の人生の幸せを願う気持ちが込められたお雛さま。幸せ、と一言で言っても、現代の女性の生き方にはたくさんのバリエーションがありますよね。仕事をする・しない、結婚をする・しない、子供を持つ・持たない……。選択肢は本当に様々です。自分で選ぶ道と、運命に導かれるように決まっていく道があると思いますが、どちらにしても、そこには多かれ少なかれ“迷い”があるのではないでしょうか。他に歩んだかもしれない道を、ずっと心の中に抱え続けて一生を過ごす……そういうことって、多分、あるのだと思います。

Nikki_nemuri
『いつか眠りにつく前に』 “EVENING” 
http://www.itsunemu.jp/
2月23 日~日比谷みゆき座ほか全国

   今回ご紹介する『いつか眠りにつく前に』では、今まさに生涯を終えようとしている一人の女性、アン(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)の、回想シーンと現実とが折り重なって物語が進んで行きます。若さの絶頂、美しいアン(クレア・デインズ)には歌手になる夢があり、様々な男性からのアプローチもあります。可能性は無限に広がるかに思えた輝かしい青春時代。親友のライラ(メイミー・ガマー)の結婚式に出席したアンは、理想的な男性、ハリス(パトリック・ウィルソン)と出会い、幸せなひと時を過ごします。ところが同じ夜、アンに思いを寄せ追ってきたライラの弟、バディ(ヒュー・ダンシー)が不慮の事故死を遂げます。彼の死に責任を感じたアンは、ハリスへの思いを封印し、別れを決めるのでした。
Nikki_nemuri2   その後、二人の娘をもうけたアン。歌手として有名になったわけでもなく、二度の結婚にも破れました。そんなアンが、平穏でも、かといって華やかでもない、必死に日々の現実を積み重ねた人生を終えようという今、うわごとのように幾度もつぶやくのは「ハリス」という名前。娘たち(長女/ナターシャ・リチャードソン、次女/トニ・コレット)は、かつて一度も聞いたことのない男性の名を繰り返す母の知られざる人生に思いを馳せます。
   そうした中、長く行き来がなかったライラ(メリル・ストリープ)が訪ねて来て、最期の瞬間を迎えようとしているアンにかけた言葉とは……。自分の人生を肯定すること、とは……。それぞれに長い人生を生きてきた二人の女性が向き合うそのシーンからは、“今を幸せになろうと努めて生きていればいいんだ”と、そして“人生に過ちなんてないんだ”というメッセージが、温かく、力強く伝わってきました。
   V・レッドグレイヴのリアルな演技が印象的ですし、また、二組の母娘共演(V・レッドグレイヴ&N・リーチャードソン、M・ストリープ&M・ガマー)が見られるのも興味深い、女性の共感を誘う作品です。私は、母と一緒に観に行くのもきっと良かったな、と思いました。男性にはこういう感覚ってあるのかなぁ……ご覧になった方に、ぜひ聞いてみたいものです。

 では、また次回です☆。

                                               20/2/2008 中澤 有美子

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Jan 16, 2008

国家による史上最大の贋札偽造事件を知ってますか?

Nikki_1


     新年明けましておめでとうございます。今年もいろいろな映画を観たいと思っています、どうぞよろしくお願い致します。

  寒い日が続きますね。でもほら、着実に木々は春の準備をしています。木蓮の花芽って、かわいらしいですよね。今回ご紹介する作品は、“春が来ない冬はない”という希望を胸に、過酷な状況を耐え抜いた人々が主人公です。

Nikki_diefal 『ヒトラーの贋札』 “DIE FALSCHER”
1月19日~シャンテ シネほか全国(地方は順次)
http://www.nise-satsu.com/

 歴史の隠された真実に光を当てた作品『ヒトラーの贋札』。とはいっても堅苦しいだけではなく、エンターテインメントとして十分観応えがあります。
  Nikki_diefal2 “ベルンハルト作戦”という、史上最大の、国家による紙幣贋造作戦が、第二次世界大戦中のドイツであったそうです。閉ざされた強制収容所、ザクセンハウゼンの一室で、芸術的才能や印刷技術を買われたユダヤ系の囚人たちがナチス・ドイツの命令に従い、連合国の贋札を作るという秘密任務に従事していたというのです。最初はポンド、次はアメリカドル。虫けらのように扱われる自らの命を1日、また1日と延ばすために……。
  とにかく、収容所での“今”を生き抜くこと。精巧な贋札を作って、ナチスの手助けをすること。しかしそれは同時にイギリス、ひいては連合国に経済的打撃を与え、ドイツの戦況を有利にし、自分たちの同志を苦しめ続けることになる……。世界的贋造犯サリー(マルコヴィクス)を中心とした贋札製造班は、それぞれに大きなジレンマを背負います。そして、なるべく贋札の完成を遅らせようとしますが、そんな時間稼ぎが認められるわけもありません。やがて“小細工”がばれた彼らは、班を編成した親衛隊少佐・フリードリッヒ(シュトリーゾフ)から「完成を急がなければ5人ずつ銃殺する」と宣告されます。極限状況の下、彼らが選んだ道は……。
  戦時下に自分が生き残るためには他人の死もやむなし。この上なく不安で残酷で緊迫した悲劇そのものの物語が、史実の裏づけと丁寧な心理描写とで、スリリングに描き出されています。
  画面は当然、終始とても暗いトーンで塗り込められています。でもそれだけに、運命に翻弄された後にサリーが見つめる海の広がりが印象的で、心に残りました。サリーと対立する印刷技師ブルガー(ディール)のモデルになったアドルフ・ブルガー氏は現在90歳。自らの体験を後世に伝えるべくドイツを中心に活動中で、昨年11月には来日を果たしました。その著書“THE DEVIL'S WORKSHOP”の日本語版『ヒトラーの贋札 悪魔の工房』も発売されました(朝日新聞社刊)です。興味を持たれた方、ぜひいかがでしょうか。

 では、また次回です☆。

                                            16/1/2008 中澤 有美子

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Nov 28, 2007

これは素晴らしいラブ・ストーリーです。

Nikki_1


   街がロマンティックに華やぐクリスマス。こんなドラマはいかがでしょうか? キリスト誕生にまつわる物語『マリア』を観て来ました。

Nikki_maria● 『マリア』“THE NATIVITY STORY”
http://www.maryandjoseph.jp/
12月1日~シャンテ シネほか全国(地方は順次)

  皆さんご存知の通り、イエス・キリストの生涯は、神の恵みと試練そのもの。2004年に公開されて話題になった『パッション』(2004、メル・ギブソン)は、死に向ってひたすら突き進まねばならぬ、キリスト最期の辛い辛い物語でした。一方、この『マリア』では、貧しくも善良な普通の市民、マリアとヨセフがどのような経緯を経て、馬小屋で“神の子=キリスト”の誕生を迎えるに至ったかが、女性監督の優しいまなざしによって描き出されました。
  婚約を交わし、互いに貞節を誓ったはずのマリア(K・キャッスル=ヒューズ)とヨセフ(O・アイザック)でしたが、マリアが突然、身重に。そんなことは、大変な重罪とされる時代です。まだ少女の面影残るマリアに、また家族に、もちろん婚約者ヨセフにも、ひいては村の人々にも、彼女の懐妊は大きな衝撃でした。“神のお告げ”があったとはいえ、容易に理解されるはずもありません。それでもヨセフは、マリアを信じようと、心に決めるのです。若い二人はなかば村を追われるように、ナザレからベツレヘムを目指し、道のり200kmもの過酷な旅に出ます。
   ロバにマリアを乗せて手綱を引き続け、砂漠を、瓦礫の崖を、山を川を、道なき道をひたすらリードしていくヨセフ。少ない食べ物を分かち合い、身体を労わり合い、励まし合い、危機を乗り越えての旅は、永遠に続くかに思われます。マリア出産の時も、刻一刻と近づきます。そうした中、時のヘロデ王は救世主登場を予言されて落ち着いていられず、迫害の準備を着々と進めていきます。
Nikki_maria2  ベツレヘムにようやく到着し、迎える誕生の瞬間は、こみ上げるものなくしては観られませんでした。初めは親の決めた早い結婚に全く喜びを感じられずにいたマリアが、処女受胎という現実に悩み、やがて信じ支えてくれるヨセフを頼もしく思うようになり、また彼も心から妻と子供を守ろうと尽くします。二人が絆を深めていったその過程は、本当に素晴らしいラブ・ストーリーだと思いました。
  これは、若いカップルの、命を賭けた真剣な愛の物語です。キリスト誕生後に続くであろう平穏でない道のりが予感できるだけに、心の通い合いや愛の尊さが、胸にしっかりと伝わってくるような気がしました。今年のクリスマスの素敵な思い出の1つになるかもしれません。
  では、また次回です☆。

                                                27/11/2007 中澤 有美子

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Nov 08, 2007

“食べる”、ということを考えてみたことがありますか?

Nikki_1




   

  都会のささやかな街路樹も色づいて、秋まっさかり。皆さん、満喫しておいでですか? 収穫の恵みに心躍る季節ですが……食糧自給率が四割程度と世界でも群を抜いて低く、また相次いで食品の賞味・消費期限偽装問題が明らかになるなど、単純に喜べないことがたくさんあります。そうした中、食べ物について考える一助になりそうな作品を観て来ましたので、ご紹介したいと思います。

Nikki_inochi 『いのちの食べかた』 “OUR DAILY BREAD”
11月10日~渋谷シアター・イメージフォーラムほか全国(地方は順次)
http://www.espace-sarou.co.jp/inochi/

 『いのちの食べかた』、オーストリアのドキュメンタリー映画です。一切のナレーション、効果音楽を排除して、ひたすら、食べ物が食べ物らしくなっていく様子を綴った1時間半。農作物、魚、肉などが食材になるまでの映像に、聞こえてくるのは現場のありのままの音のみ……動物の鳴き声、機械音、作業をする人たちのちょっとした雑談などだけで、他には徹底的に、何の語りかけもありません。とにかく観ることに集中して、考え続ける1時間半。“あ、これはこういう意味なのかな”と想像したり、“わぁ全然知らなかった”とか“今度こうしなきゃ”とか……。観ている間中、いつもと全く違う脳内筋肉を使った、という感じがしました。

Nikki_inochi2
  そんな驚きの手法があぶりだしたもの、それは、飽食の時代に生きる私たちが、いかに何も知らずに食べ物を口にしているか、ということ。印象は鮮烈でした。これまで、“まぁ、だいたいそうなんだろう”と想像していたレベルを遙かに超えていました。何よりも、何に対しても、“効率的”で“システマティック”であることが最優先の現代社会。その驚きの、しかも身近な現実をありのままに捉えたこの作品は、圧倒的な現実感を持って“自分たちの食生活を省みろ”と、無言でたたみかけてくる感じがしました。一例を挙げるならば……豚、牛、鶏の屠殺のつぶさな様子、見たことのある人は極稀でしょう。普通にしていたらどこでも、誰も教えてくれないことばかりが、この作品にはありました。
  まさに傍若無人と言うべき力を振るっているにも関わらず、食物連鎖の頂点にいる人間は、食べることの豊かさ、ありがたさを十分に味わえているのでしょうか……。“無知なままでは、大切ないのちをいただく資格なんかないんだ”と、切なく、真摯な気持ちになりました。公開される劇場はとても少ないようですが、皆さんもぜひ足を運んでみて下さい。
  では、また次回です……。

                                                07/11/2007 中澤 有美子

Nikki_nakazawa
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Oct 19, 2007

この少年は“信じることを貫く強さ”を教えてくれました。

Nikki_1




    神様のご褒美のような過ごしやすい季節、如何お過ごしですか?暑い夏も凍える冬も束の間忘れて、気持ちよさに心身が喜んでいるようです。今回は、他のなににも決して変えることができない、自分だけの心地よさを切実に求めた、ある少年の物語をご紹介します。

Nikki_konomichi_1

●『この道は母へとつづく』 “ITALIANETZ”
http://eiga.com/official/konomichi/
10月27日~Bunkamuraル・シネマほか全国(地方は順次)

 酷寒のロシア。雪に閉ざされた孤児院。
 親に捨てられたたくさんの孤児たちが、裕福な里親に貰われていくことを夢見て暮らしています。この作品は2000年に掲載された新聞記事を基に映画化されたもので、実際に演じている子供たちの多くが、孤児院の子供たちなのだそう。つまり、ここで描かれていることは、現代ロシアの1つのリアルな姿なのです。
 主人公のワーニャ(スピリドノフ)はイタリア人夫妻に気に入られ、養子縁組が成立しようとしていました。暖かいイタリアへ! 他の子供たちから羨ましがられ、この上ない幸運を手に入れるかに見えたワーニャ。でも、彼自身の胸の内は違っていました。
Nikki_konomichi_2  「この孤児院を離れたら、もしも本当のお母さんが迎えに来てくれても、二度と会うことができない……」。思い詰めたワーニャは、必死に字を習い、校長の金庫から自分の孤児記録を取り出して盗み読みし、お母さんの手掛かりを探り始めます。
  近づいて来るイタリアへの旅立ちの日。いてもたってもいられないワーニャ。僅かな手掛かりを胸に、いざ、お母さんを探しに孤児院を脱走します。初めての列車の旅です。道中、幾度も挫折しそうな辛い目に遭うワーニャですが、時に孤児院仕込みの機転を利かせて危機を免れ、時には持ち前のガッツで乗り越えます。そして何より、ワーニャの“お母さんに会いたい!”という熱い熱い思いに、周りの大人たちがやがてほだされていくのです。
 大人になったら程々に折り合いをつけ、場合によっては封印してしまう「お母さん、会いたい。大好き」という思いが、この作品では全篇に表現されています。 現代版「母をたずねて三千里」、と片付けてしまうにはあまりにも現実的なロシアの社会問題を見つめつつ、誰もが共感する普遍的テーマが心を温める、『この道は母へとつづく』。 信じることを貫く強さを、けなげな少年の姿から教えてもらえたような気がしました。
 では、また次回。

                                                18/10/2007 中澤 有美子

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2007 10 19 [試写室日記] | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック

Sep 11, 2007

“食欲の秋”に、気持ち良~くお腹のすく映画です。

Nikki_1




    こんにちは、中澤有美子です。今日から、試写で一足早く観せて頂いた映画のこと、映画を観て思ったなどを、こちら試写室日記で綴らせて頂くことになりました。皆さんが気軽に立ち寄れる、また何かヒントを見つけて頂ける場所にできたらいいな。
    どうぞよろしくお願い致します。

Nikki_siawase



●『幸せのレシピ』“NO RESERVATIONS” http://wwws.warnerbros.co.jp/noreservations/
9月29日~丸の内ピカデリー1ほか全国松竹・東急系

    ところで、今年の夏は本当に暑かったですね。きっと、記憶にも記録にも残ることでしょう。おかげで、季節のコントラストがはっきりすると思います。さぁ、次は秋。“食欲の秋”がやってきます!! もちろん“芸術の秋”、大好きな“映画の秋”でもありますね。新しい季節のはじまりに、私が気になった作品は、『幸せのレシピ』です。キャサリン・ゼタ=ジョーンズがニューヨークで活躍する一流シェフを素敵に演じています。
Nikki_siawase2   競争の激しいニューヨーク。ケイト(ゼタ=ジョーンズ)は独身で、美人で、素敵な住まいに暮らし、弱みを見せず、仕事は超完璧。ちょっと困りモノなのは、理不尽なリクエストをするお客がいると思わず厨房から飛び出し、啖呵を切ってしまったりすること。でもそれは、眠さに打ち勝って早朝の市場に通ったり、コツコツとレシピを研究したりという、影の努力があるからこそです。“とにかく走り続けるしかないの! 愛する仕事と自分の居場所を守っていくためにはね!!” というシビレる毎日を送る反面、心理カウンセリングで悩みを吐露したりもするケイト。働く女性なら、きっと彼女の姿に親近感を覚えると思います。
   苦しいけど楽しい、キツいけど達成感がある。肩にめちゃくちゃチカラの入ったケイトの日常に、予期せぬ2つの事件が起こります。ひとつは幼い姪との同居、そして厨房に入り込むライバルの出現。自分に厳しく、ストイックに、全てをコントロールしてきたはずのケイトは、二人の存在にペースを乱されるばかり。……でも、この状況もデメリットばかりじゃないみたい!?
  「女性のキャリアって? 人生のヨロコビって?」
   よくある悩みかもしれませんが、だからこそ気づけばそこを繰り返し彷徨ってしまったりはしませんか? えぇ、私はそうなんです(笑)。この『幸せのレシピ』は、そんな女性の永遠のテーマについて一緒に考えてくれました。
   ともあれ、それはそれは見事に美味しそうなお料理たちに彩られた、だれもが気持ちよ~くおなかのすく映画です。先日お会いした、辛口かつ温かい料理評論でお馴染みの山本益博さんは、この作品で描かれている“食事のあり方”について絶賛しておいででした。もしも男性がこの映画に女性を誘うなら、さりげなく素敵なレストランを予約しておいて、そのまま楽しいディナーにいざなうとよいでしょう。きっと、株が上がりますよ!
  では、また次回♪

                                                06/09/2007 中澤 有美子

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2007 09 11 [試写室日記] | 固定リンク | コメント (4) | トラックバック